+ トッキュー!!感想 +



第一九巻
□一九巻。
とある日。
オフ? のすみれちゃんは一人でスーパー銭湯のような場所でリフレッシュをして、ジャージのようなものを着て中華料理屋に入り、ビールとチンチン麺を注文しました。
すると偶然その場に居合わせたメグルはそんなすみれちゃんの様子に唖然。
「どこのオッサンかと思うたぞ。休日に女が一人で寂しかねぇ。オシャレも化粧もせんでよう外ば歩けるばい。もっと女らしゅうしたらどうね? 胸もなかし色気も(以下略)」
散々なことを言うメグルです。
でも正直、これは私もメグルと同意見。最低限の身だしなみと慎みをもって人前に出た方が良いよ、女の子なんだし。リアルでこんな妙齢の子見たらドン引きしちゃうよ。
まあ「なんで女にばっかり高スペック求めるのかしら?」って言うすみれちゃんの意見ももっともだけどね。
そして「オイは隊長目指しとるけん兵悟君には云々」とグダグダ語り始めたメグルをまるっと無視してとっとと家に帰るすみれちゃんです。
今日のすみれちゃんたちの家のごはんはお鍋。どうやらユリちゃんが用意してくれた様子です。ユリちゃんマジで良い子だなぁ……マジ良いお嫁さんになれるよ。
「ねえ兵悟、なんであいつトッキューに入れたの? まともにレスキューできる奴とはとうてい思えないわ」
メグルのことをこんな風に言うすみれちゃん。ですよねー、私もそう思うわ(笑)
メグル君ってオシャレだし絶対モテるんだよすごいんだよなんてメグルのフォローする兵悟にいちいち「あれで?」「あれが?」と突っ込み入れるすみれちゃん。
終いには「あいつどーよ?」なんて兵悟に言われてブチキレちゃいました。
「なんで私が兵悟にあんなバカ押しつけられなきゃなんないのよ! お前らに同情されなきゃなんないほど惨めじゃないってんだバーカ!!」
メグルを押しつけられそうになったことに関しては同情するけど、この言い方はないよなぁ。他人に向かって「バーカ」なんて言う人と私は関わりたくないよ。親しき仲にも礼儀ありだよ。
これでも私モテるんだから! 子供とか、おじさまとか……でも同世代にはさっぱり……というすみれちゃんですが。そりゃそうだろう。すみれちゃんはお世辞にもモテるタイプには見えないし、まして「バーカ」なんて言ってるようじゃ永遠にモテ期は来ないと思われます。
ちゃんとオシャレして、言動に気を付ければそれなりにいけると思うけど、今のままじゃね……。
そんな折り、すみれちゃんは秘書課の子から外部の友人がトッキューに興味持ってるから合コンをセッティングしてほしいと頼まれます。
OKするすみれちゃんですが、そのOKした動機が「OLの定めた基準をあんた(メグル)はクリアできるかしら?」ってあわよくば女の子の前でメグルに恥をかかせてやれ、っていうのは……どうかと思うよ……、そんなんだからモテないんでしょう。男勝りが売りのすみれちゃんですが、普通に一番女々しい性格してると思うよ。メグル好きじゃない私ですらそんなことよう思わんわ、つーかメグルとかどうでもいいから逆に言えばすみれちゃんはメグルが気になってんだろうけどね。
さらに合コンの場ではメグルはすみれちゃんの後ろ暗い期待とは違って沙織ちゃんという可愛い女の子と音楽談義で盛り上がっておりました。
沙織ちゃんはメグルをロックオンしたらしく、メグルとどつき合いを繰り広げるすみれちゃんを警戒しているような怖い演出が付いてましたが、沙織ちゃんは合コンの場では空気の読める普通に可愛らしい女の子でした。
そして二次会の前にメグルを捕まえて暗に二人きりになりたいという沙織ちゃん。
そんな二人を見ておせっかいにも「ここは私に任せて!」と送り出したすみれちゃんです。そうして消えていく二人を見届けメグルのことを「なんだ、やっぱり違うのか……ちょっとだけ私に気があるのかと思ってたわよ」なんてモノローグ付きで見つめるすみれちゃんなのでした。
…………表向き無神経なタイプほど裏でこうジメジメしてるとほんと厄介です。
ユリちゃんが可愛いのって、あの子はストーカーじみてるけどこういう陰湿な所ってないんですよね。女の子を全面に押し出してるけど、ほんとそれだけですからね。
実はサバサバタイプのほうが厄介な場合ってけっこうあると思います。彼女がいる男友達にも空気読まずに「友達だから!」って一定の距離を置かずにハタからみたら慣れ慣れしく接したりね。彼女から見たらうっとうしい女でしかないのに、当人の言い分は「友達だし!」と言う。
まあ、すみれちゃんがそうだとは言いませんけども。
沙織ちゃんは友人たち曰くモテるけど真面目なタイプでここ二年ほど彼氏はいないらしい。なのでよほどメグルにハマったのでは? ということです。
あんな可愛い若い子が二年も彼氏いないなんて相当ですよ。本当にメグルのこと良いなって思ったんでしょうね。趣味わりーなとは思いますが(笑)
しかし二人して夜の街に消えたはいいものの、当のメグルは汗ダラダラ状態。
これは何の罠ね……? あの女(すみれちゃん)のハニートラップか……? なんてあり得ない被害妄想を巡らせております。
何とか「焦ってない俺」を演出しようとするもついに耐えられなくなってラブホの前で沙織ちゃんを突き飛ばしてしまいました。
そして「あんたんこと、キツか!」とすでに終電もなくなった時間だと言うのに沙織ちゃんを一人ラブホの前に置き去りにして逃げちゃったメグルさんです。
これは酷い。いくらD-Tだからってこれはないわ。ラブホ街のような危険極まりない場所に終電もない時間に女の子一人残していくなんて……。女ってなんでこげんめんどくさかとや? とか思ってる場合じゃないよメグルさん……。しかもあの突き飛ばし方……打ち所悪かったら死んでるよ……。
翌日、トッキュー内部ではメグルがOLをお持ち帰りしたという噂が広がり、真田は相変わらず「式はいつだ?」などと天然を発揮しておりましたがメグルは黙するしかないわけです。
そして帰宅の時間、駅に向かおうとしているとすみれちゃんがやってきました。まためんどくさかとが来たばい、とメグル。
すみれちゃんは秘書課の子から沙織ちゃん置き去り事件を聞かされて、メグルにそのことを問いただしに出向いたのでした。
あんな可愛い子あんたにはもったいないのに、とギャーギャー噛みつくすみれちゃんの胸ぐら掴んでメグルはこう反発しました。
「可愛くてヤレそうなら男は喜んで飛びつくとでも思っとるとか!? 男バカにすっとも大概にしろさ!」
「あ……ごめん。じゃあ他に好きなひとがいるの……?」
「……それは……」
そんな会話を交わしていると、これまたKYにも恵子ちゃんが「お疲れさまです!」と二人の横を抜けていきました。
当然「恵子たん!」と飛びつくメグル。散々まとわりついて恵子ちゃんにすら「彼女、いいの?」と言われる始末です。
メグルが振り返ると、そこには呆れて「好きな女がいるなら合コンとか来るな!」と叫ぶすみれちゃんの姿が……。
「そんなんで兵悟に勝てる気!?」
「勝てるばい。これからオイのことばよう見とけ」
なんだかよく分からないフラグを立てた二人ですが、まあお似合いだと思いますよメグルとすみれちゃん。
沙織ちゃんは災難だったけど、これで良かったと思います。
ちなみに沙織ちゃんは表面上かもしれないけど可愛く振る舞えて他人を気遣える可愛い良い子でした。
まあ、「俺って経験済!」と打ち出しつつ実際D-T臭をばらまいていたメグルがやはり真性だったことが分かった今回のエピソードなのでした。……メグル、今24歳くらいだよね……? ま、まあオタクだし、な……。

そんなこんなで新章です。
最近、どうも元気がない? 高嶺さんです。
高嶺さんの様子が変じゃない? なんて噂してたころ、基地長からこんな発表がありました。
「十一管区に念願かなって機動救難隊が発足することになった」と。
えっと、どう説明すればいいんだろう……、海保の航空基地には特救隊の管区版みたいな機動救難士と呼ばれる人たちが所属しています。この救難士という呼び方もごく最近のもので、元は救護士だったかな……まあ、ともかく、特救隊と同じく潜水士のなかから選抜されて管区内で特救隊みたいな役割をこなす人たち、それが救難士です。
救難「隊」とは言わないような気がするけど、なにせ新しい組織だからトッキュー描いてる頃に呼び方が定まっていなかったんだと思います。あと、十一管区(沖縄)にはトッキュー内時間(2005年前後)では救難士っていなかったけども今現在十一管区に救難士を置こうという流れになっているので恐らく海保に取材に言った時にその情報を聞いて漫画内ではリアルに先駆けて沖縄に救難士を置くエピソードを挟むという流れになったのではないかなぁと推察します。
ちなみに2005年前後に救難士の設置が決まったのは沖縄ではなく大阪の関空です。トッキュー内では既に関空には救難士がいることになってるようです。ていうかトッキュー世界での関空というのは結構古い基地のようです。実際には関空基地って新しいんですけど、十年ほど前に恵子ちゃんが新人だった頃には既に関空基地が存在していて恵子ちゃんは関空所属だったらしいですし……、まあ、リアルと一緒ではればいいというものではないので、この辺はオリジナルということなんでしょう。
ちなみに救難士には潜水士かつ救命士の資格持ちの人が選ばれる確率が高く、これはなぜかというと特救隊のような特殊海難レスキューのためというよりは現場の保安官にもしものことがあった場合迅速に救命措置がとれるように配慮してのことです。なので、救難士というのはコンバットレスキュー的な側面も持っているわけですね。そこが特救隊との一番の違いかな。
そんなわけで話がそれましたが、基地長はさらに言いました。
「ついては初代隊長を高嶺に任せることが正式に決定した。三正から二正へ特進で栄転だ」
発足は十日後ということで、つまり高嶺さんはトッキューを辞めて地元に戻ることになったんですね。
えー、ここで高嶺さんの経歴についてちょっと考察したいと思います。
高嶺さんは副隊長ということで、階級は三等海上保安正。さらには特進で二正へ昇進ということはやはり海保大学校出ではないということだと思います。なぜなら保大出は任官と同時に三正で、約五年後には二正になるからです。高嶺さんが保大出だったら別に特進でもなんでもないです。
そこで、です。高嶺さんがどういう経歴で救命士になり保安官になったか……考えた結果、こうなりました。
高校卒業後、救命士の資格を取るために二年間専門学校に通う(二十歳)→いざ救命士になったものの、高嶺青年は地元沖縄の海で仕事がしたいと考えた→そうだ海上保安官になろう→しかし年齢制限故に既に保大は受験できない→ならば保校しかないじゃない!→ということで、救命士の資格を取った秋、後期入学で保校(主計科?)に入る→一年後、主計士補として沖縄の海で巡視船に乗りつつ潜水士を志す(二十二歳)→潜水課程を経て潜水士へ、そしてトッキューに呼ばれる→一、二年ほどトッキュー隊員を勤めた後、幹部になるべく保大の特修科へ(二十六、七歳)→無事幹部課程を経て三正になり、主任主計士として一年ほど巡視船勤務→再びトッキュー召集・ここでトッキュー連載開始時間(二十八、九歳)→副隊長を経て沖縄の救難隊長へ特進で栄転(アラサー?)
この経歴我ながら完璧じゃね? と思うわけですが、どうでしょう?(笑)
これならば高嶺さんの知性的な雰囲気を傷つけずにいい感じだと思うんですが……。保校出で三十路で二正なんてほぼ保大卒に並ぶ文字通り特進です。保大出で、三十三歳くらいでようやく隊長になった嶋さんを思えばどれほど凄いか分かると思います。
そんな感じで地元に栄転になった高嶺さんです。六隊は副隊長が不在になるということで、高嶺さんの希望もあり六隊の中から後継者選びをすることになりました。
……これは正直、ねーよと思うんですが。
いやもちろん六隊に去年の大口のような将来トッキュー隊の副隊長・隊長になるべくトッキューに来た保大卒の青年がいれば、一発で決まりですけども。
生憎と六隊には経験不足・経歴不足の若造しかいないわけで。
まあ、あくまで年末の隊編成までの臨時措置なんだろうな。ということで自分を納得させました。
年功序列かつ性格面で言うなら確実にアンドリューが適任なんでしょうけど、当の本人は副隊長まして真田の下なんてイヤらしく「無理無理」と言っております。
武山もどれだけサナダマンのことを高嶺さんが制御していたか思い浮かべて「行かないでください、高嶺さん!」と涙目です。高嶺さんが仏像に見えてくる始末です。
結局は今夜落ち着いて考えるか? と結論を出したアンドリューですが、兵悟たちは今日同期会があるということでそれを断念。しかしメグルは「オイはそんな気分になれん」と同期会を欠席し……「石井でも高嶺さんがいなくなることにショックなのか」なんて思われてました。
果たして本当にそうなのか? と思いつつ、兵悟の同期会で久々に星野君やら大羽やらタカミツやらの出番です。
「ちょっとー、聞いたよ! 副隊長の座を巡って六隊内紛ってホント!? 前代未聞じゃん、すごいねっっ」
「……おずまで噂行ってんの?」
「滅多にない話だね」
ビール片手におもしろがってる様子の星野君です(笑)
「そーそー、軍曹もびっくりしとったぞ。だいたい、副隊長は普通隊長が選ぶらしい」
いいね、三隊は相変わらずの常識的反応で(笑) ヤン嶋は本当にアフォから理論派の常識人に上手い具合に成長したよ……と涙なしには語れない。「高嶺の奴なに考えとんのや!? 真田隊長の悪いクセ移ったんちゃう!?」なんて一人盛大に悩みつつその横で「わー、ひょっとして兵悟が副隊になったりして!」とか大笑いする大口の姿が容易に想像できる三隊です。……っとイケネ、気を抜くと心が三隊に飛んでしまう。
しかし、この大羽の台詞を前提に将来の大口隊とか思い浮かべるとすごい楽しいですね。「ワシは大口さんに選ばれ(略)」って思った時、大羽はどう反応するのか……とか(笑)大口のことだから一方的に大羽を気に入って隊長になる前から「俺が隊長になったら絶対お前副隊だから! だからさっさと特修行きなよ!」とか自分本位なことしょっちゅう言ってそうだなーなんて考え(略)
いかんいかん、やっぱり嶋本組が好きすぎて心が飛んでしまう。
ていうかやっぱりこの同期たち大好きです。やっぱり星野君がいないと駄目ですよね。なんか星野君がいてこそ兵悟の同期って感じますもん。
正直、まだ副隊長なんて器じゃない……と悩む兵悟に星野君は語って聞かせます。
「なあ兵悟、お前が副隊長なんてまだ早いっていうのは分かるよ。でもさ、隊には副隊長が必要で真田さんには絶対右腕が必要なことは事実だ。――言ってみればこれはレスキューさ!」
「そう! レスキューだ!!」
「そうじゃー! ええこと言うのおっ、星野は!」
既に目がロンパリな三人を前にして、みんなが酔っていることを悟る兵悟なのでした(笑)
そんな折り、近くのテーブルから見知った声が聞こえてきます。
「どんどん食べてください、オイのおごりですけん。ほら武山君もグイッといかんね。で、安堂さんはやっぱり立候補やめるとですよね?」
明らかに買収工作をしているメグルさんです。
星野君たちの酔いも一気に醒めた模様。メグル、お前って奴は本当にもう……(遠い目)
翌日、積極的に高嶺さんの身の回りの世話をして立候補する気満々度をアピールするメグル。そして案の定、「石井メグル、立候補します!」と挙手しました。
兵悟は正直、メグルが副隊長になるのはイヤだ、だそうで。
迷っていると、高嶺さんが兵悟の手を掴んで無理矢理挙手させました。
「君も立候補しなさい、そうじゃないと争いになりません」
メグルも「よかやん。これでオイと兵悟くんどっちがレスキューマンとして上か白黒つけられる」と後押ししています。
が、別に副隊長ってレスキュー能力が上だからなるわけではないわけでして……。お前、一度塾長門下に入れよ、そしたらその認識が間違いって一発で気づくぞ。
はっきり言ってメグルに副隊長なんて無理無理無理。だと思うんですけども……、まあ奴がハイパー隊員でかつ檜垣さんがいればサブリーダーもアリとは思うけど、トッキューだとなぁと不安でいっぱいです。
しかもこの後継者争い、メディアまで介入してきました。
「密着GOGO」なる番組でこの争いを取り上げるらしく、これから一週間取材陣が同行するらしいです。
メインアナウンサーを勤めるのは人気新人アナウンサーの井上真里亜。通称・イノマリ。
たぶん臨時ヒロインだと思います。ユリちゃんをよりスレンダーにしたようなサッパリした外見の可愛い子です。
メディアに取り上げられるということで、二人が訓練する場所には色んな人たちが集まってきました。檜垣さんだったり技術部の橘さんだったり星野君だったり、ついにはあの人まで。
「そう、どんなときでも全力で自分の力を出す。俺があいつに徹底的にたたき込んだのはそのことです」
「坂崎さんまで! なにやってんですか!」
佐世保から坂崎さんまでやってきちゃいました。……最終回に向けて投げやり、おっとと、全員集合なノリになってきてますね。
A水槽での兵悟とメグルの100メートルフル装備ドルフィンダッシュ勝負。それぞれを応援する人選がすごい面白いです。
「兵悟は追い上げ型だからな、こっからだ!」
「らいこうのメガネにやられたら東京湾に沈めんぞ!」
兵悟を後押しする星野君と坂崎さん。
「怠けてんじゃないわよメグルっっ、兵悟に簡単に勝たせる気!?」
「石井! 海の火消しのプライド見せやがれ!」
迫力満点のすみれちゃんと檜垣さん。
かつて兵悟が好きだったというすみれちゃんですが、これはもう明らかにメグルが気になってますね。最初からそう言えばいいのに、めんどくさい子だなぁ(笑)
メグルは檜垣さんていう自分を認めてくれる人に出会えてホントに良かったなーと思うと同時に、やはりハイパーに(略)
結局、これといった勝負もつかないまま日にちだけが過ぎて行きました。
実は高所恐怖症なイノマリちゃんはヘリにも飛行機にも乗りたくないらしく青ざめておりますが、プロデューサーから「お前は乳揺れしか売りがないんだからこれからアナウンサーとしてやりたきゃ死ぬ気でやれ」とキッツイこと言われてなんだか可哀想な感じになってます。
そんなとき、東日本はすこぶる晴れておりますが、西日本は低気圧の影響で自衛隊が出動して災害救助活動にあたっているというニュースが流れてきました。
この世界にも自衛隊っているんだネ☆ ってわざとらしく思ってみたりしました。
そしてやはり、こんな災害が起こるほどの事態なので基地には通報が鳴り響き、当直の六隊は出動になってしまいます。なんでも島根県知事から出動要請が来たらしく、ガルフで現場に急行する六隊と取材陣です。
今回は海難ではなく陸での仕事です。きっと自衛隊の救難も行っているだろうに、見る影もなくトッキュー様々が大活躍してくれることでしょう、とやさぐれる気持ち大です。救難のイエローホークの神業着陸とか、この手の災害ではほんっとうに空自は凄いのに……と思うんですが題材がトッキューなので仕方ありません。
ていうか美保基地でベル412に乗り換えなんですが、またまたものっそギリギリな感じの人数乗せて飛んでます。
六隊が六人、パイロット二名、通信士一名、ホイスト二名、そして取材陣二名? の一三人。それに資機材。うわぁ……がんばれ412。
兵悟は持ち前の視力の良さで濁流に流される人を発見してヘリからダイブ・救助に向かいます。
一巻の頃の、ボンベ背負って高々度からダイブしていたころを思えば、この辺はとてもリアルっぽくはなってきてるんだけど……。
要救助者二名を412に吊り上げ、メグル、兵悟、高嶺さんはそのまま川に置き去りということになりました。たぶん、人数制限にも重量制限にも引っかかったんだろうな。
今回「俺自ら行く!!!」とばかりに飛び出していかなかった真田にはちょっと感心しました。そうそう、隊長はおとなしくしていましょうネ。
そしてヘリに残った真田が何をしたかというと、国交省のダム管理所に「放水を止めてください」と交渉しておりました。
この交渉の無茶っぷりをわかりやすく説明するとこんな感じです。
受け皿の上に九割がた水の入ったコップが置かれていると想像してください。コップには常に水が注がれ続けている状態で、受け皿に少しずつ放水することで溢れるのを防いでいるのが現状です。この放水を止めればどうなるか? 一瞬だけ受け皿に注がれる増水は止まったかに思われますが、そのうちコップに留めておける限界量が来てしまって溢れたコップから水が受け皿に流れ出して受け皿は水でいっぱいになってしまいますよね。
それと同じで、放水を止めれば一瞬だけ増水量は止まりますがその後待っているのは水底に沈む町です。
真田は町が沈む前に救助し終える、と。
ダムの所長さんは「ダム屋のプライドにかけて一時間だけ耐えてやる」と了承。
これは……いや、カッコイイんだが、いちトッキューの隊長にこんなことさせるなんて……。この辺は自衛隊やら消防やらとちゃんと連携取れてるんだろうか……。
ま、まあ海保自体が国交省の傘下だから別にいっか☆ と無理矢理納得です。
トッキューのプライドにかけて救出する、とは真田ですが予想よりも早くダムは決壊……いや決壊まではしてないけど管理所そのものが制御不能に陥ってしまいました。
どうでもいいけど、この「トッキューのプライドにかけて救出」しているシーンがたったの半ページで終了してしまいました。せっかく所長とのやりとりに燃えてたのに、半ページっすか? 真田が頭下げた次の瞬間には救助完了してるってどんだけですか。
ひょっとしてトッキューの後ろで「大丈夫ですか?」とか「今、病院に搬送します」とか言っているモブが消防とか自衛隊の救難の人たちですか?
今、レビュー書いていてこのダム編というか19巻がもっとも読み返さない巻だった理由に気づきました。
せっかくいつもと違うステージでのレスキューという題材なのに、こんないかにも「レスキューです!」みたいな場面をスルーしてるからなんだな……。
刻一刻と迫り来るオーバーフローのプレッシャー。荒れ狂う天候、どこにヘリを着陸させればいい? 要救助者の状態は? ベルじゃ無理ならイエローホークに飛んでもらってそれこそこんな時こそメディックに真田の知り合いとかいてさ、「トッキューもイエローホークに乗せてくれ!」とか自衛隊と連携して要救助者をパイロットの腕と隊員の熟練度で救出してみたりとか。
いくらでも熱く燃える話が書けそうなのに……、半ページで終了は……いろいろともったいないんじゃなかろうか……と思う次第なのでした。
まあ、空自出しちゃったらトッキューより上がいるってバレちゃうから意地でも出せないのかもしれないけど。それなら警察の航空隊でも消防でもいいじゃん。
えー、管理事務所が水にのまれそうということで六隊の面々は国交省の人たちを助けるべく管理所へ向かいます。
412は病院へいっちゃっていない、他のヘリも他で救助活動中で来られないということらしい。
けれども歩いて行くも道路が崖崩れおこしちゃってて行く手を阻まれ、結局はヘリが戻ってくるのを待つしかない、と高嶺さん。
そんなとき……イノマリちゃんが六隊のあとを付いて来ちゃって間一髪で兵悟が彼女を助けました。
どうしてもカメラに収めたかったから付いてきたんだ、と。
付いてくるなと言っていたのに付いてきたイノマリにお冠のメグルです。
歩けない彼女はこの場に置いていこう、と。
置いていくなんて可哀想、というアンドリューにさらにお怒りのメグル。
「あんたのせいでヘリに乗れん人間が出たらどがんすっとや!? あんたのせいで今、兵悟君が死んどったらどげん責任ば取るつもりや!? 言うてみろさ。あんたみたいなんがおるけん……」
くどくど怒るメグルを「もういいよ」と制した兵悟です。
メグルのお怒りはもっともだけど……例えばこれに近い内容を嶋本隊長が言ったとしたらすごく納得だけど、メグルに言われたくNEEEEと思ってしまいます。この後のメグルのモノローグも知ってるから余計にね。あと、メグルって兵悟が絡んでるから感情的になってるだけだしね。
イノマリが付いてきたことで、あの真田すら迷って高嶺さんに「どうする?」なんて聞く始末です。
高嶺さんはイノマリを残して行けないと言いますが、メグルはイノマリには兵悟がついてるけど管理事務所にはトッキューはいないから行く、といい、結局真田はメグルの意見を取って兵悟とイノマリを残し、六隊はヘリの着陸可能ポジションまで移動することになりました。
メグルは残していく兵悟をチラっと見つつ思います。とっさに付いてきたイノマリが崖から落ちた時、オイはとっさに動けんかった、と。自分だけじゃなく真田も高嶺さんも動けなかったのに兵悟だけが迷いなくイノマリを助けに飛び出していけた、と。
さっきイノマリを頭ごなしに叱りつけたのには兵悟に対するこんな嫉妬があったからなのでした……。
当のイノマリちゃんは自分は平気なので兵悟もダムの人を助けに行くよう言います。
六隊はというと、いつの間にか戻ってきた412に乗って管理事務所の方に向かっていました。
「神林のやつ、ちゃんとイノマリちゃん守ってんだろーなー」なんて心配げなアンドリューはマジでイノマリファンなんだな、と思ったり(笑)
まあでもピンチになるのはヒロインのお約束です。吊り橋効果のごとく兵悟とイノマリちゃんは良い感じに仲良く(?)なって兵悟は高所恐怖症のイノマリちゃんを自分の身体にくくりつけて「大丈夫ですよ」なんて笑いつつ自身の足で管理所まで移動することにしました。
管理事務所の職員の人たちはほとんど屋上に出て救助を待っていたんですが、所長だけはダムの中に行っててまだ戻ってきていない状態です。なんでもマニュアルで操作するために操作盤のあるダム内へと行ってしまったのだそうで。
オイが所長を助けに行く、というメグルの進言で真田はメグルと高嶺さんに所長の救助を任せ、自分はアンドリュー(と武山)と職員を吊り上げることにしました。地味に俺のバディはアンドリューだと決めて固定している真田が面白いっす。真田がアンドリュー指名してればこんな副隊長争いなどせずに済んだものを……。
ここで所長を高嶺さんと共に助けに行くメグルさんの素薔薇しいモノローグをご紹介したいと思います。
「今回は高嶺さんの前でよう活躍しとるんはオイのほうやね。兵悟君はあからさまに空気ばい!! 今回の副隊長争い、オイのほうが明らかに適任でしょ?」
絶望した!! お前にはほんとに絶望した!!!
ハイパー編でちょっとだけ見直したのに、メグルはほんとまっっったく成長しないね。ある意味尊敬するよ。
まあ、そんな感じでダムの方に行くとちょうど崖から猛ダッシュしてきた兵悟とイノマリもダムに着いて鉢合わせになった二人です。
「イノマリさんは安全なところで待機しててください」とか言っちゃう高嶺さんが地味に面白かったです。「井上さん」でも「真里亜さん」でもなく「イノマリさん」って……!(笑)
でもイノマリちゃんは高嶺さんと兵悟とメグルの三人と一緒になったことで「このあと高嶺さんがどっちを後継者に選ぶか決定的瞬間があるかも!」と報道者魂に火を付けて「私も行きます!」と宣言。
当然メグルは怒ってましたがめげないイノマリちゃんです。でもこの管理事務所もいつ崩れるか分からない状態で一人にしている方がむしろ危険。「一緒に連れて行ってください!」と訴えるイノマリちゃんのキラキラした瞳を見て「兵悟君に似てきた!」と益々苛立つメグルなのでした。
結局高嶺さんがイノマリを連れて行くと言って四人一緒に行動し始めたんです、が。ダム内にいる所長は無事マニュアルでゲートを開くことには成功したようです、しかし、コンクリートの一部が破損していたらしく放流を開始した途端、内部はものすごい勢いで浸水を始めてしまいました。
危険だから所長を助けに行くことは無理だと判断した高嶺さんは、戻ろうと指示。しかし兵悟は「所長さんを連れてきます!」と走り出してしまいました。
必死で身体張って止めるメグルも、高嶺さんの制止の言葉も振り切って行ってしまった兵悟。
ツンデレのメグルは今度こそ兵悟が死ぬかもしれないという現実に絶叫して追おうとしましたがこちらも全力で高嶺さんに身体張って止められて後退。
兵悟は何とか所長さんのいる区画まではたどり着けたもののあっという間に浸水してしまってもう元来た道には戻れなくなっていました。
八方塞がりの兵悟、なんとコンジットゲートから放流する水と一緒に外へ出よう、と所長さんに提案します。さすが破天荒王です。ダム屋の所長はその無謀さに青ざめていましたが、どうせ助からないなら万に一つの可能性にかけたほうがマシってもんですよね。兵悟は無茶しいだけど、兵悟と一緒にいると「大丈夫かもしれない」という明るい気持ちにさせられるという点では、私は兵悟のことをとても高く評価しているんですが。
でもやっぱり無茶は無茶で兵悟もかなりの極限状態に陥ってます。今度こそ死ぬかもしれない、とリアルに感じて家族やユリちゃんや行方不明のお父さんのことまで走馬燈のようによぎらせてます。
一方のメグルは、兵悟のアホのような思考を読んで「絶対コンジットゲートから出てくる」と先回り。
しかし数トンもの水と一緒に出てくる兵悟たちをどうやって救えば……と考えあぐねていると、高嶺さんが動きました。
なんと、ロープで戦闘機の緊急着艦用ネットのようなものを岸から岸に張り巡らせて作り二人を受け止める作戦です。
むちゃくちゃだけど、これはめちゃくちゃ映像にしたら迫力あると思います。これ書きながらちょうど今、クライマックス時にかかってた某ガンダムのサントラ聞いているのでものすごいリアルに映像が想像できて一人で「うおおお燃える!!」とか思ってます(笑)
案の定兵悟たちはコンジットゲートから出てきてネットに引っかかり、ネットが水圧で引きちぎれるわずかな間に兵悟と所長さんの二人を確保したメグル。そして、競技会で大口に目を剥かせたほどの怪力で三人を引っ張り上げる高嶺さん。
そうして無事陸に降り……、所長さんの目には救助に来てくれたベル412の姿が映ったのでした。

――今から語る物語は、すべて真実です。

とかいうイノマリちゃんのモノローグとイノマリちゃんの持ってるカメラをオープニングにドキュメンタリー風の映画作ったら面白そうかもなーなんて思っちゃいました。
報道者を志すヒロインと、とあるトッキュー隊員の出会いと事件編です。
全く違う作品になりそうですけどね(笑)

ダムでの水難も片づいて羽田に戻り――、いざ後継者の指名となった場面で兵悟は自ら副隊長の座を辞退してしまいました。
なので必然的にメグルが高嶺さんの後を継ぐことに。
この結果に納得行かないイノマリちゃんです。「神林くんはそれでいいの?」と。高嶺さんは本当はどっちを選ぶつもりだったのか探るために高嶺さんの後を追います。メグルも気になっていたらしく、イノマリちゃんと仲良く真田と高嶺さんをストーキング。
この場面見て思ったけども、イノマリちゃんってメグルと絡んでも兵悟と絡んでもとってもお似合いという美味しい女の子ですね。兵悟・メグルとお似合いって、それだけで既に作品のヒロインとしての資質を兼ね備えている貴重な人材。
臨時ヒロインなのが実に惜しいなあ、ああもったいない。
二人して聞き耳を立てていると、高嶺さんは真田にこんなことを言いました。
「今回のことでハッキリしました。神林君は今すぐトッキューを辞めるべきです」
衝撃の高嶺さん発言、以下最終巻へ。

しかし、兵悟がトッキューに似合つかわしくない人格だってことは嶋本隊長も初登場時から言っていたし今更です。そしてこの高嶺さん発言に「本気なのか?」なんて言っている真田は相変わらず自分内で兵悟の評価が高いようです。

さて後継者争いがメインの一九巻でしたが、メグルが副隊長になってだからどうなるという展開でもなく、相変わらず伏線クラッシャーぶりを発揮するこの漫画なので……色々、ダム海難の救助の件でも書きましたけど色々残念な部分も多くありました。
ただ、真田が出しゃばらなかったのは良かった……かな。


□一九巻私的ベスト台詞。
「海上保安庁特殊救難隊の神林兵悟です」
コンジットゲートからの無謀脱出を敢行する前に所長さんが「お前の名前は?」と兵悟に訊いた時の兵悟の台詞。
ただ、この後の所長さんがトッキューだと聞いて「ああ、あいつか」と真田を思い浮かべるという地味な真田SUGEEEを無理矢理ねじ込んで来た所にはあまりに真田プッシュしすぎていっそ感動しましたが。死ぬかもしれないという場面で、命を託す相手の名前を聞く……というのは演出的には良い場面だと思います。
しかし私が演出家だったらもちろん真田SUGEEEはカットカットで、素直に兵悟の名前を復唱する場面にすると思います。トッキューて聞いて真田の声を思い出すのはアリだけど、そこは真田ではなく「そうか、特殊救難隊か……」ってトッキューそのものに思いを馳せるべきであり、主役の兵悟を引き立たせるべき場面だよなー……と。好みの場面なだけに演出が残念なのもまた印象に残りました。

あと冒頭の合コン。
トッキューイケメンベスト5に異議あり!!
トッキューイケメン5を私が選んであげる♪(エリカが例えてあげる風に/古)
まず大口、絶対に大口。盛り上げ役も出来てエリート、ルックスもそこそこという点では外せない。
次に嶋さん。まあイケメンじゃないけど、盛り上げ役としては良いかな、と。
そして真田。うん、女寄せ的に。
地味に大羽。大羽は堅物っぽいから合コンとか好まなそうだけど、カッコイイことは間違いないからな。
主人公、兵悟。可愛い系を一人入れておこうという狙いで。
これでOKでしょう。
星野君がいれば、嶋さん外して星野君インなんですけどねー。
大口と星野君は保大の合コンキングと呼ばれていたとかいう裏設定があっても納得するよ私は(笑)
実は星野君除隊で大口が地味にホッとしていた、とかいう設定があっても驚かない(笑)
「出る杭は打たないとねー♪」なんて保大時代、後輩星野のことをチェックしてた大口先輩とか……ないかなぁ……。

あと大口といえば、同期会を開催した際にアンドリューとどんな会話をしてるのかめっちゃ気になります。
同期会開くほど仲良くないのかもしれないけど……、大口はたぶんアンドリューのこと結構仲良いと勝手に思ってると思うんですよね。
で、アンドリューからは嫌われているという(笑)

 


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