+ トッキュー!!感想 +



第十八巻
□一八巻。
消防内部では「海保が来てなんかやってるらしい」と、みなさん唖然としておいでです。
まあ当然だな(笑)

えー、場所は蒲田。五階マンションから出火。
ということで、ここは元消防のメグルの独壇場です。六隊を仕切りつつ間一髪でマンションに残ってた子供を助け出したメグルを見て、やっぱりメグルは消防に戻った方が良いんじゃないかと再認識しました。
ぜったい消防の方が合ってると思う。
そんなこんなで救助活動やってると、本命の消防のご到着です。
「海保のトッキューさんよ! ジャマだジャマ!」
その声を聞いて、真田が反応。
「檜垣……!?」
「やっぱこんなことするやつはてめぇか、真田」
やってきたのは東京消防庁、第二方面のハイパーレスキュー。そして檜垣さんというのはそこの隊長で真田の知り合いらしいです。
まあいつもの真田SUGEEEですね。色んな所に知り合いのいる真田さんはマジぱねぇっす。でもこう乱発されると全然ありがたみがないっす。
えー、まあハイパーレスキューなんて特救隊の比ではないほど有名なんで説明不要ですよね。
単純比較はできませんが、前に嶋本隊長が敵意を燃やしていた沖田や手ぬぐい王子の所属するレスキュー隊をもうちょっと特殊部隊風にした感じの組織ですね。
ちゅーか、レスキュー隊が「トッキュー」って呼ばれたがってたということは、ハイパーの連中は「ハイパートッキュー」とか「スーパートッキュー」とか呼ばれたいのか? ひょっとして……。いや、まさかな……。
マンションにはもう一人取り残された人がいて、ハイパーの人たちは見事救出してみせました。
残された家族を心配して泣いている女の子をずっと励ましていたアンドリューが地味にカッコ良かったです。アンドリュー良いやつだよなぁマジで。
これも何かの縁という奴で、真田は「一週間こいつらをハイパーで預かってほしい」と言ってヒラ隊員の四人を少しの間ハイパーで面倒見てくれるよう檜垣さんに頼みました。
基地長からも正式に「トッキューがハイパーに劣らないってところを見せてこい!」とゴーサイン。
まあでも消防の訓練所、羽田の基地のすぐ近くだから通いやすいですよね……つかぶっちゃけトッキュー基地より全然目立ってるしね……、台場のあたりをぐるっと車走らせたことある人は一度は目にしたことあると思います。
アンドリューは消防の特殊車両に大興奮しております。
まあ……でも申し訳ないけど私のテンションは上がらねぇ……! あんま赤い機体好きじゃないんだよ……、シャアもあんま好きじゃないし(全く関係ない)まあシャア専用ズゴックは例外的に大好きですけども。
ちゅーか消防自体がそんなになぁ……、いや救急車にお世話になったことはあるので大変感謝はしておりますけども……。ほんと世話になった救命士の兄ちゃんにはもう一度頭下げたいくらいだけど。
ヘルメットを脱いだ檜垣さんは坂崎さんの比じゃないほど生え際がヤバ(略)
ヘルメット……蒸れるもんね……と思わずにはいられない。
まあそんな感じで始まったハイパーとの合同訓練ですが、専門分野が全く違うので兵悟たちは四苦八苦です。元消防のメグルが「なめられるな!」なんて言いつつ奮起してるのが哀れを誘います。奴は複雑な心境に違いない。
そして真田と檜垣さんですが、何でもコッキンタイで一緒になったのが知り合った切っ掛けらしいです。
コッキンタイって何……、と思ったらどうやら国際緊急援助隊の通称らしいです。何でもカタカナ表記で略すりゃいいってもんじゃないだろうと思いつつこれはトッキュー語ってやつかな。
コッキンタイは海保・消防・警察から選抜されるとのことですが……またまたまるっと自衛隊無視のようです。どう考えても一番人数割いて行ってるの自衛隊部隊だろ……。
檜垣さん曰く、「ハイパーが海保に教えることはあっても、そっちから教えてもらうことはないと思ってる」らしいです。
まあ、陸に関してはそうやろうな……。ちゅーか陸に関して海保から教えられたらわざわざ専門分野に分けてる意味がねーよ。
兵悟は「俺たちも、消防も海保も関係ない時がくる」なんて思ってますが……。関係ないなら分けてる意味がないと思うんですけどね。変な縄張り意識に繋がるのは問題ですが、ある程度は自分は自分の管轄で仕事をするという意識を持っていてもらいたいものです。全部やろうとしなくていいよ。
そして訓練にも慣れた頃、檜垣さんはメグルに向かってこんなことを言いました。
「お前、元消防なんだってな? なんでまた辞めて海保行ったんだ?」
「……もともとは……ハイパーに来たかったとですけど……」
え? マジっすかメグルさん!
なんでもメグルはハイパー行きたかったらしいけども東京消防庁には落ちて行けなかったらしい。
さらに檜垣さんはメグルに言います。
「真田がお前を自分の隊に入れたの分かるぜ。お前はなかなか筋が良いと思う」
ハイパーの隊長にこんな風に言われて有頂天のメグルなのでした。
まあ、メグルはこの漫画始まって以来初めてこんな風に誰かに誉められて、ほんとに嬉しかったんだと思います。それが憧れ? のハイパーの隊長ともなればうれしさも一入でしょう。
ていうかメグル、お前もうハイパー行っちゃえよ。絶対そっちのが合ってるって。檜垣さんの方がいいじゃん、真田より合ってると思うっつか真田はどんなに頑張ってもお前のこと見てくれないって。可哀想だけど。
そんな折り――東京湾にて乗員数五百人を越えるギリシャの貨客船に火災が発生し、ハイパーに出場要請が下りました。檜垣さんは海での事件なので兵悟たちも特殊車に乗せて現場に急行。
まあしかし現場には警防部長なるお偉いさんが出てきて、船が接岸しちゃったもんだから「海保の仕事はそこまでだ」なんて兵悟たちの活動にはストップがかかってしまいました。
この警防部長がどれくらい偉いのかっていうと、将官クラスと思ってもらえればだいたい分かるかと思います。つまりシャアより偉い!(ますますわかんねーよ)
元消防のメグルはこの部長さんがどれほど偉いか分かっているのに、タメ口でいちゃもん付けていたからたいしたもんだと思います。もちろん悪い意味で。偉い偉くないに関わらず明らかに目上の人しかも初対面の人間には敬語で話せって学校で習わなかったの? って小学生に教えるように言いたくなりますね。たぶんメグルは消防に行っても出世はできないでしょうね。海保でも出来ないと思うけど。
警防部長は(乗員が避難する間での間、火災が防げれば)船が沈もうと知ったことではないという考え方らしいです。兵悟たちは唖然としてましたが、これはこれで一つの考え方です。えらい悪者のように演出されてるのでアレですが、とりあえず人間の避難が優先なのは当たり前。
避難した乗員をカウントしていると、二名足りなくてまだ船内に取り残されていることが判明しました。
もちろん兵悟は行くといい、メグルもその気です。
「今オイたちが行かんでどげんするとですか!?」
檜垣さんに訴える時は敬語なメグルさんです。メグルは一旦自分が認めたっていうか尊敬するに値すると認知した人間に対しては従順ですよね。要するにガキですね(笑)
警防部長は当然反対してましたが、檜垣さんはメグルたちトッキューのメンツを引き連れて船内に行くことを決意。
あとで査問は受ける、と言って責任を負った檜垣隊長です。これはカッコイイですね。ここはこの判断が必要だった場面です。
そして檜垣さんはメグルにこう指示しました。
水と火を両方肌で知ってるのはお前だけだから、ハイパーを先導して行け……と。
憧れであり雲の上の存在だったハイパーの先導を任されたメグルはもう感動ですよ。かなりやる気になってます。
檜垣さんはほんとにメグルの扱いが上手い。檜垣さんの下だったらメグルは良い消防士になれそうなのに……ほんと惜しいなぁ。
そしてメグルはタメ口も聞きつつ警防部長とも馴染んでいるし……お前マジでハイパーに(略)
えー、このハイパー×トッキューの海難編。勢いがあって面白く読んだんですが、ありとあらゆることがトンデモ過ぎてレビュー書くの難しいです。
たとえばさっきまで岸にいる警防部長のそばにいたはずのメグルがハイパーの人と共にいつの間にかやってきた真田・高嶺さんの乗るピューマに乗っていたり、とか。
面白ければそんなことどうだっていいじゃない!!! って思うので別にいいんですが……あんな人がいっぱいいる所でピューマがメグルたちを吊り上げられるほど降下してくるのは現実問題として無理だし……うーん。まあいっか。
まあそんな感じで船内に残ってた少年を檜垣さんが身を挺してかばって救ったりして海保と消防は手を組んでこの事件を解決したのでした。
ここで一番の燃えポイントは沈みゆく船の上を飛ぶ海保のピューマと消防のピューマですね。この二機は兄弟機だし、揃うとやっぱり燃えます。真っ赤な機体もピューマも私的には微妙だけど、この場面はリアルに映像浮かべられるし、浮かんだ映像にすごく燃えるのでOK!
そしてハイパーを従えて指示を出すメグルはほんとにカッコ良かった!
メグル、マジで東京消防庁に入り直せばいいよ。メグルは元々真田に惹かれただけで海が好きとかそういうのでは全然ないんだし、自分の力発揮できる場所に戻った方が良いと思う。檜垣さんや警防部長というコネ……おっとっと、知り合いもできたことだし、たぶん受かると思うよ(笑)
長い目で見ればそっちのほうが圧倒的に国民のためだし、将来ハイパーとして救う命の数を思えばここ数年の寄り道だの税金の無駄だのは全く問題にならないと思います。
打ち上げの席で、ちゃっかり檜垣さんの隣をキープして、世話になった檜垣さんに頭を下げているメグルを見て益々そう思いました。ぜったいメグルには檜垣さんの方が合っていると思う。ていうか消防士のメグルなら好きになれそう……。
まあしかし、ハイパーのリペ降の遅さに駄目だしするメグルが笑えました。確かにトッキューさんは速いよね……と思うけど。
やっぱり、真田六隊編が始まってからの「レスキューに壁はない」というテーマ? みたいなものには首をひねってしまいます。
以前も言いましたけど、陸は消防のほうに分があるし海は海保が一日の長がある。
トッキューはその名の通り、特殊な海難に対応するための部隊なんだから、そっちに専念してほしいというかそうするべきなんです。欲張らなくていい。
例えばなんですけど、グリンベレーとネイビーシールズ、どっちが強い? なんていう質問は非常にナンセンスです。
けれども、どっちがより体力があるか? という質問であれば、グリンベレーでしょう。
体力という点においては、やっぱり陸の人間はケタが違います。そういう勝負をしたらグリンベレーやデルタフォースってのは一歩秀でてると思います。
けれども水際で戦ったら……?
そしたらやっぱりシールズに軍配あがる可能性が高いですよね。
これはつまり、どういう目的の部隊であるか、どういう能力が求められているかに基づいて訓練をしているわけですからそういう結果になるんです。
陸軍をも圧倒する歩兵能力を有する海軍なんてもはや海軍じゃないんですよ。つまり餅は餅屋ってことですね。
あと……国内で汎用性の高いレスキュー勝負をするなら、まず空自のメディックには勝てないでしょう。
奴ら……空挺レンジャーやるわ江田島で潜水やるわ、看護学院で看護課程やるわ格闘もやるわ、まるで徽章取るのが趣味なようなのがわんさかいるからなぁ。オールマイティなら絶対にメディック。
ということで、トッキューはトッキューがすべきことを頑張ってもらいたい、と思った一八巻なのでした。
あとメグルはやっぱり消防が合ってると再々々々確認した巻でもありました。


ベスト台詞はないけど、一八巻のMVPはメグル。裏MVPは檜垣さん。
そして珍台詞は「おじちゃん」「お兄ちゃん」かな。
少年を救助に行った兵悟は少年に「おじちゃん」呼ばわりされるもめげずにサラッと「お兄ちゃん」と言い直していた所に笑いと感動を覚えました。
二十歳そこそこでおじちゃんはキッツイよね……でも小学生からすると二十歳でもおじちゃんなのかなぁと考えると頭が痛くなりました……。

 


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