+ トッキュー!!感想 +
第十七巻 |
□一七巻。
徹夜明けの六隊はそのまま横浜の防災基地に駆けつけて競技会開始です。 どうでもいいけど今現在、羽田の基地は蛻の殻です。こういうときにイレギュラーな海難が発生した場合どうするつもりなんだろう……。 まさかこういうときだけ伝家の宝刀・自衛隊さんお願(略)をやらかすつもりじゃねーだろうな? あ? と思ったり思わなかったり。 ベストコンディションで出られる隊を最低一隊は残しておかないと何のためのトッキューなのか……て思っちゃいますね。 おまけに基地長はメディアまで呼んでる次第だから、国民のみなさまにわざわざ今海難起きたらトッキュー出られませんって宣伝してるようなもんじゃん……。仮に競技会程度じゃ奴らの体力なら問題ないってことだとしても、ジェット機を使わなきゃならない場合は確実に横浜から羽田に戻って準備したりしてる間に時間ロスがある。 そんな不満と懸念を抱えつつ競技会です。競技会自体はアリだと思うんですけどね。難しいところです。 広報室からはすみれちゃんがおにぎり持って応援に来てくれました。 真田隊長の写真いっぱい撮っちゃお〜〜、なんてはしゃいでるすみれちゃんに嫌味を飛ばしたのはメグルです。 「海保の女なんて海保の男と結婚するか結婚できんかのどっちかやもんねぇ。兵悟くんあたりで手を打っとけばよかろーもん、必死やねぇ」 そしてすみれちゃんお手製のおにぎりにいちゃもん付けながらも食べるメグル。 これは……フラグなの、か……?(笑) さて全員集合でいよいよ競技会開始。 一種目目はレンジャーサーキットです。 第一走者・武山。 六隊は動きまくってたからウォーミングアップはばっちりのようですが、所詮徹夜明けなので身体ガタガタです。 トップは二隊、次点、三隊、三位、六隊で第二走者にバトンタッチ。 三隊の第二走者は大口で六隊は高嶺さん、四隊は塾長という偶然にも副隊長対決。 「急げーーー、大口ーー!!」 なんて嶋本隊長から激励されるもロープの巻き上げでものすごい力を発揮する高嶺さんに大口は大きな目をさらに大きく見開いて唖然。この大口の顔が面白い(笑) しかしそんな高嶺フィーバーもそう長くは続きませんでした。 「バックから失礼Y、タカミネちゃんっ」 ロープ渡りで塾長が高嶺さんの頭を踏み台にして四隊が六隊を追い越し暫定トップ。さすが塾長っす! 結局大口は巻き返せず戻ってきて隊長に頭を下げておりました。 「嶋本隊長、すいません抜かれてしまって……」 「ほんまに肝心な時に使えんやつやな! ドアホウがっ!」 大口の頭を叩きつつ「俺がアンカーでがっつり抜き返してやるわ!」って宣言する嶋本隊長はマジかっこいいです。ほんと、カリスマ性はないけど隊員との距離が近くてなおかつ頼れるという意味ではピカイチの隊長だと思います。 そんな嶋本隊長を横目でみていた兵悟に真田は「アンカーはおまえがやれ」って言っちゃいました。おお、旧三隊対決ですね。 第四走者はアンドリューの六隊、もうアンドリューはいっぱいいっぱいです。途中でミスしちゃって六隊は最下位になってしまいました。 「すみません……」 フラフラで戻ってきたアンドリューは真田にバトンタッチ。 「よくやった」 真田は一言そういってアンドリューとタッチしたんですが。これだけボロボロになって帰ってきても何の含みもなく「よくやった」って淡々と言ってくれる隊長はこれはこれでカッコイイですね。珍しく真田をカッコイイと思った場面でした。つか、アンドリューには隊長、真田っていうのは割と合ってると思います。ようするに真田信者じゃなければ良いのかもしれませんね。 さて一方の四隊、新米隊長の長倉はオッシーから引き継いだ初めての隊を解散させてなるものかと奮起しておりますが、さっそく真田に抜かれてしまって哀れを誘います。可哀想に……。 真田はトップを爆走していた黒岩隊長にも追いついて、ほぼ同率一位で戻ってきました。 一隊のアンカーは小鉄。ますます旧三隊対決です。 兵悟はかつての仲間と戦うことよりも、真田にアンカーを任されたことで「俺って信頼されてる☆」と単純パワーを発揮して頑張ります。 一隊と三隊の一騎打ちになるかと思いましたが……、まあ、三隊のアンカーがあの人ならそうなるわけないですよね。 「お前ら……何のうのうと俺の前走っとんねん……」 その声に悪寒を感じる小鉄と兵悟。 「前さっさと譲らんかいボケエエエ!!!」 「うわああああ!!!」 かつての上官がヌッと現れマジでビビる小鉄と兵悟です。合掌。 「小回りで俺に勝てると思うとんのか!? 小鉄っ、神林っ、返事ナシか!? ゆとり教育か!? 恥かかせる気か!? 元三隊!!」 嶋本隊長言いたい放題でギャラリーからは「パ、パワハラだ……」なんて言われる始末です。そして嶋本隊長に常に弱かった小鉄は案の定捕まってしまいました(笑) まあでもこれはパワハラではなく追いついた嶋本隊長の実力ですけどもね。 「逃げろ神林!」 「逃がさんぞ神林」 ギャラリーは今、ぜったい兵悟に同情してると思う(笑) これは地味に怖いだろうなー、鬼教官に追っかけられるんだもんなー。 しかし嶋本隊長、「どけ!」なんて言ってみるも兵悟に「いやです!」って真っ向否定されてかなりショックを受けております(笑) どけと言われて素直にどくとでも思ってたんだろうか(笑) 「そっちがどかんつもりなら……どかすまでやっ!」 勝負事に熱くなる男・嶋本進次。大人げないほど必死になって兵悟追いかけてます。 結局僅差で嶋本隊長が兵悟を追い抜いて三隊、トップ。 「嶋本隊長、すごいっす!!」 歓喜の大口です。お前ほんと隊長慕ってんなー、いいぞいいぞ(笑) まあでも当の隊長はゼーハー言いながら「こいつのどこにこんな体力残っとったんや」と内心ドキドキでした。こ、これが二十歳そこそこと三十路オーバーの差、か……(遠い目) さて二種目目です。 二種目目はリレーと言うことで防災基地の外が全体映ってますけど、ここで巡視船に注目。 なんかしきしまっぽい船がいます。着船場にへりが出てることってそんなにないんですけど、たぶんピューマっぽいのがいるからしきしま級で間違いないでしょう。この世界にもあの規模の船あるんですね。 余談ですけど、しきしまのピューマって結構な頻度で羽田の基地に出向しちゃってて船にいなかったりするんですよね……、パイロットが機種限定持ってないとピューマを操縦できないように、メカニックも機種限定ないと整備できないので羽田の方が何かと便利なんでしょう。 もう一個余談で、今年は海保の観閲式が例年より一ヶ月ほど前に行われていましたが……これにはちゃんとした理由があって、大ざっぱに言えば湾岸警備上の問題からなんですが。前にも話したとおり四月は異動の時期でまともに船すら動かない状態で、しきしまにしたって動かすべき時に人員揃わなくて動かせないという「それは……ちょっと……」みたいなことになってたんで、漫画の中の話とは言えただでさえ異動でゴタゴタしてる時期に羽田の基地あけて競技会ってどうなの、と思ってしまいます……。 えー、リレーの内容ですが。 一人1500メートルのリレーだそうです。しかもライフゼム+面体付きで。 うわー、1500メートルでもイヤなのにめちゃくちゃキツそうですね……。 しかもしかも一つの隊についてボンベは一本。酸欠になって面体外した時点で失格だそうで。 基地長は徹夜明けの六隊がもう少しでトップになりそうだったさきほどのレンジャーサーキットの結果にひどくお怒りの様子です。 走者の順番は歳の若い隊員からということで、必然的に第一走者は今年のヒヨコ組。まあでもこれは今年のヒヨコをたまたま若い子で揃えたからであって、今年星野君とか大羽とかが入ってきてたら確実に二年目の兵悟のほうが若くなるというチグハグ現象起きますよね。 そして第二走者は……やはりこちらも元ヒヨコ同期対決。さらにアンカーは隊長対決です。ただ四隊だけは長倉より塾長の方が年輩なので、アンカーは塾長ですけども。 これは……燃えますよね。運動会でもリレーっつったら盛り上がり最高潮ですもんね。 第一走者の武山君はやっぱり疲れが見えて暫定最下位。そんなヒヨコたちを見守る兵悟たち同期の面々ですが。 「兵悟……勝負は勝負じゃ、ワシは全力でいくからな」 「俺も。ヒヨコん時の100キロ行軍以来だからな、あのとき負けたリベンジはきっちりさせてもらうぜ」 「……二人とも……。ありがと……」 同期の桜同士の対決に熱い友情を交わし合う兵悟と大羽、タカミツなのでした。 そんな三人を脇から何とも言えない表情で眺めるメグルさんが哀れと笑いを誘う……(笑) 兵悟と同じ隊で兵悟より年上だから同期対決に割って入れなかった残念なメグルです。でもメグルがいるとこのさわやかな感じ出ないのでこれはこれで良いと思いました。可哀想だけどね。 トップとは少し差をつけられつつ、一隊のタカミツスタート。そして三隊の大羽、六隊の兵悟スタートです。 一気に前に出たのは大羽。さすが身軽ですね。大羽に負けじとタカミツも大羽にくっついて、その後ろに兵悟がついていって三人とも一気にトップグループを抜き去りました。 絶対負けたくない同期対決。頑張りますね。つーかみんな成長したなぁほんと、なんてうれしくなってしまいます。 結果一位、三隊、二位、一隊。遅れてゴールした兵悟ですがゴールラインのあたりでフラフラと倒れてしまってバトンタッチも忘れて「兵悟……!?」と心配げにふりかえってしまう大羽とタカミツはやっぱり良い奴らですよ。 なぜ兵悟が倒れたかというと、エアーを抑えて吸っていたからなのでした。自分が抑えて走れば他の人はそれより多く吸えるから、と。 「んなアホな……」 大羽や嶋本隊長を始め、みんな呆れ驚いてましたが、メグルはそこまでお膳立てされて負けたら恥だと奮起して走っていきました。 そして一位、三隊のまま二位は六隊となり第四走者にバトンタッチ。 三隊の第四走者は副隊長の大口です。 「行けー、大口ー! お前を三隊副隊長に選んだ俺の期待に応えてみんか!!」 そんな風に隊長に激励されて振り返った大口はビシっと親指を立ててウインクです。 「ヨユーっす!」 その彼の様子を真横で見ていたアンドリューは忘れられないトラウマを刺激されました。 そう、まだヒヨコの頃……大口と競い合っていた、いや一方的に競っていた日々のことが甦ります。 行軍の時、「100キロ? ヨユーっすよヨユー。歩くだけだしどうせ」なんて軽く言いつつあっさりゴールして死にそうになりながらゴールした自分の元へ風呂上がりのさっぱりした顔で「おっつかれー! 思ったより速かったじゃん、すげーなー!!」なんて声をかけてきたこと。 合コンの時、「こいつほんとマジ面白いから。オススメ!」なんて女の子にいいつつ訓練の時の恥ずかしい失敗談を語っていたこと。 「お前のその上からの物言い……、ずっと気にくわなかったんだよ!!!」 今日こそは! と一気に奮起して今までにない気力を見せるアンドリューです。 まあ気持ちは痛いほどわかるけど……、たぶん大口に他意はないし悪気もないんだよ……許してやって……! て思っちゃうのは大口が嶋本組だからかな(笑) 「あの二人もトッキュー同期やからな、ここにも負けられない思いがあるんや」 二人の教官だった嶋さんは語ります。ずっと追いかけてきた背中……今の嶋さんはひょっとしたらアンドリューに自分を重ねていたのかもしれませんね。となると大口が真田か、イヤだなそれは(笑) アンドリューはものすごいがんばりを見せて大口に追いつき、ほぼタッチの差で第五走者にバトンタッチしました。 このままだとアンカーまで勝負は分かりません。嶋さんが思いふけっていると隣から真田が声をかけてきました。 「嶋、全力でこい」 「……はい」 答えつつ、あれからもう10年以上が経ったんやな……と嶋さんは海保大学校に入学したばかりの頃を思い出すのでした。 ついにヤング嶋本初披露です。 入学早々、あまりに身長が低いことで陰口を叩かれていたヤン嶋は叩いていた張本人をトイレでボコにして一週間後には猿山の大将となっていました。 保大入って最初の一週間くらいってものっそ怖い先輩たちに散々絞られる時期だと思うんだけど、「保大なんていかつい看板かかげてるわりにちょろい奴らばっかり」なんてヤン嶋が調子に乗っているところを見るに、この世界の保大はもっともっと甘い学校なのかな……。 何でもヤン嶋は千葉の高校野球では有名だったらしく、甲子園出場決まっていたけど部員の不祥事で辞退した経緯があったそうな。 当のヤン嶋の居酒屋での飲酒・喫煙が発覚して退部になったらしい。 周りからの陰口を聞きつつ「一年予備校通ってこんな場所まで来たのによー、四年間もこんな奴らに囲まれてちゃ俺まで腐りそうだ」なんて思うヤン嶋に一言言いたい。 いや、どう見ても腐ってんのはお前だろ! あー久々にフォントまで弄ってしまった……。 これは当時こういう事例があったから深く考えずに漫画に使ったのかもしれないけど、さらにヤン嶋の千葉の高校がどういう経緯で出場辞退したのか詳しく書かれていないので何とも言えないけども。 甲子園って高校球児の夢の舞台でしょ。それを目指してみんな頑張ってるのに、もしヤン嶋という一人のバカのせいで出場できないなんてことだったとしたらとんでもない事態ですよ。ヤン嶋は全員に土下座したくらいじゃ死んでも足りないし、軽々しく二度と野球なんてするべきではないです。 少なくとも自分だったら……誰かのせいでインターハイ出られないなんてことになったら末代まで祟りたい勢いだと思いますね。立ち直れないかもしれません。特に甲子園なんて今までの人生すべて捧げてやっとそこまでたどり着いた人もいるんだろうから、尚更です。 まあ優勝した勢いでレギュラー全員で飲酒だのなんだのやってたらまだ連帯責任なんでマシですけど。ヤン嶋がこんなに腐ってるのも甲子園行けなくなってやさぐれた、とかならまだ分かりますけど。 おそらく軽々しく深く考えないで、こういうのをネタ的に書いてあることがけっこうこの漫画にはあるのでちょっとそういう部分は不快感を覚えます。 そして休日にはパチンコに出かけるヤン嶋です。 こいつに税金使われてると思うとマジ殴りてええ!!! こいつの学費も、毎月支払われている給料も全部税金。すなわち今パチンコで使っている金も全て税金。なんたる税金の無駄遣い。メグルなんぞの比じゃねぇ。その金を千葉の高校にでも寄付しろや。 現在の嶋本進次見てるとむしろ税金過剰に払いたくなるので結果として税金的にはトントンではあるんですが……! そんな喫煙しつつパチンコ台にあたるヤン嶋のタバコを、ふいに誰かが奪っていきました。 「何すんだっ!? てめぇ誰だっ」 「この店、教官も来るから見つかるわよ、一回生でしょ?」 振り返ると、そこには意外にも女の子の姿が。 「お前……は?」 「航海科三回生、五十嵐恵子。あとその台、出ないわよ」 そう、在りし日の恵子ちゃんなのでした。航海科とか言っているところに時代を感じます、が、「〜回生」って言い方するのは近畿地方の学校だけかと思ってたけど……保大もこう言うのか? あと、喫煙に懲りてないヤン嶋はマジでぶん殴りたくなるけど、一浪してるから誕生日早かったらすでに二十歳だよね……。 まあそんなこんなで、ヤン嶋から奪ったタバコをかわりに吸って忠告してどっか行っちゃった恵子ちゃんです。 ヤン嶋がその後を追うと、めちゃめちゃ箱重ねて出しまくってる恵子ちゃんの姿があり……。 「女神だ……!」 嶋本進次、フォーリンラブ(笑) まあ別にパチンコやってる姿に惚れたんじゃなく単なる一目惚れでしょうが(笑) 早速野球のチケットを手に入れたヤン嶋は恵子ちゃんをデートに誘おうと女子寮近くをうろつきます。 「あ、いた! 恵子ちゃー……」 しかし、恵子ちゃんに声をかけようとしたところで先に何者かが恵子ちゃんに話しかけてしまいました。 「五十嵐、こんどの週末にカープの試合見に行かないか? チケットあるんだけど」 「!? ほんとに……? 正田……Y」 チケットを受け取って頬を染める恵子ちゃんです。 ていうか、正田……!!! 思わずまたフォント弄っちゃったよ。恵子ちゃん渋すぎだろオイ。さすが男は顔より実力派ですか? つか頬染める恵子ちゃんマジかわいいんですけど。保大時代の恵子ちゃんのかわいさは異常。これはヤン嶋じゃなくても惚れる。 まあ……時間の流れは……残酷だったけども……。 そんな恵子ちゃんの可愛い笑顔を見てショックを受けるヤン嶋です。 何者だあの男? こいつと付き合ってんのか? なんて焦りつつ自分の前を遮った男の肩を掴んでこう宣言。 「あんたと勝負がしたい!」 そう、その男こそ在りし日の真田、ヤング真田甚、ヤン真だったのでした。あ、言いにくい。 どうでもいいけど、恵子ちゃんには真田にとっても親友の伊藤君がいるのにデートに誘うってどうなの真田? 好意的に見るとあれですか、「伊藤と行って来い」ってことっすかね? まあどうでもいいけど。 「勝負って何をするの?」 「え? 勝負っつったら男らしく血で血を洗う拳の戦い……」 「はい却下」 恵子ちゃんに訊かれて拳の勝負をしたい旨を告げるけども却下されて、ヤン嶋は一番得意な野球で真田に挑むこととなりました。 野球ならこっちのもの、お前も恵子ちゃんのハートも軽ーくノックアウトしてやるぜ! なんて意気込むヤン嶋ですがあっさりと破れ……。その日は日が沈むまでしつこく勝負を挑み続けるも結局勝てずじまいなのでした。 しかし……仮にもヤン嶋は千葉では名の知れた野球選手だったらしいのに、学生時代から真田SUGEEEはハンパねぇ。 だがヤン嶋よりは確実にヤン真のほうが好感度高いのでまったくムカつかないぜ!!(笑) 俺の保大生活が危うい、と危機感を募らせつつ夕食をとっていたヤン嶋のところに恵子ちゃんがやってきました。 「嶋本君。ちょっと訊きたいんだけど……勝負に勝ったらどうしたかったの?」 恵子ちゃん……学生時代のほうが嶋本進次に対する対応の仕方が正しいってどういうことなの……。退化してるよキミ……。 そして恵子ちゃんに話しかけられるまで、すっかり恵子ちゃんのことは忘れていたヤン嶋なのでした。最初はカッとなって恵子ちゃんをかけて勝負! みたいな感じだったのに、いつの間にか手段が目的に変わって真田を負かすことのみに夢中になってた様子です。 「……別に、ただ勝負したかっただけですよ」 「そう。なんで男ってそういう無駄な戦いしたがるのかしらね」 呆れ気味の恵子ちゃん。 ヤン嶋は……女子っつーか真田以外には先輩に対する態度わきまえてんだな……とちょっと感心した場面です。 ともあれ恵子ちゃんに呆れられて、そうは言っても男には譲れんプライドってもんがあるんですよ、と思いつつしつこく真田に勝負を挑み続けるヤン嶋です。 ちゅーかヤン嶋おもれえ。ほんとにこんな(良い意味で)バカが出場停止食らうような(悪い意味で)バカやったんだろうか。ヤン嶋のキャラがいまいちわからん。 そもそもヤン嶋はなんで予備校通ってまで保大に行ったんだ? ヤンキーの本場にデビューしに行ったにしても選択肢は他にあると思うんだけども。保大に行った時点で海保に就職したようなモンだし、他の国立の滑り止めとか防衛大は無理だから保大にとかならまだ分かるけど……君は本当に保安官になりたかったのか? と問いたい。 まあ結果的に彼には保安官的内容の仕事(体力勝負の雑務等々)が合ってたから良いんですけども。 そんなこんなである日、ヤン嶋がプールで泳いでいる真田の背後に釘バット持って近づいていくとやっぱり見つかってしまいました。 水泳は得意だし、50メートル自由形でまた勝負することになりました。 珍しく良い勝負ができて、タッチの勝負になり……「俺のほうが速かった!」と主張するヤン嶋。 しかし……実は真田は10キロほどの重りをつけて泳いでいたのでした。 「ハンデがないとフェアじゃないだろ?」 それを聞いて心底悔しがるヤン嶋です。 いや、これはどうなの真田……、せっかくヤン真の好感度高かったのに一気に急降下だよ。こればっかりはふざけるなというヤン嶋と同意見だ。全くフェアじゃねえ。 まあそんな悔しがるヤン嶋に真田は「潜水士にならないか?」と持ち前の天然とKYぶりを発揮し、結局ヤン嶋は潜水同好会に入って真田が卒業するまで勝負を挑み続けたらしいです。 まあ、夢中になれるものが見つかったのは良いことだが……勝負の時にウエイト付けて勝負する不届き者をなぜ慕っているのか私にはわからんとです。 しかしやっぱりウエイトの件だけはトラウマらしく、潜水士になって、トッキューになって、隊長になってもまだ忘れられない、と嶋本隊長です。 この背中を越えたかったんだ、ずっと。 回想していると、第五走者の面々が戻ってきました。圧力計を見るとエアーが想定以上残ってて思わず隊員の方を振り返る嶋本隊長。 「嶋本隊長、残りの空気心おきなく使ってください!」 「ファイトォ!」 すると必死に応援してくれる部下たちの姿がありました。……三隊最高すぎるだろこれ……、隊長慕われすぎ……いいなぁ三隊。かつて鬼とおそれた嶋さんを必死に応援する大羽が好きだ(笑) 三隊、六隊はほぼ同時スタートで二人ともほぼ互角です。 でも六隊は徹夜明けというハンデを背負っているので、互角だった時点で軍曹の負け、とはメグルです。……それは、言い訳というやつじゃなかろうか……と思わないでもないが。 すると誰かがものすごいスピードで二人を追い越してトップに立ちました。 「塾長!?」 そうです、塾長なのでした。さすが塾長!! って思ったんですが途中でエアーの切れた塾長はそのまま失格になってしまいました。オチ扱いひでえ。 真田と嶋本には負けられないということで他の隊長も飛ばしてトップに並んできました。 あ、違うや。真田には負けられない、って言ってトップに並んだみたいです。……嶋本には負けてもいいんかよお前ら……と思わずにはいられない。 結局もみくちゃのまま戻ってきてみんなタッチの差。 「真田さんと嶋本さんが同着で一位でした」 兵悟がそういって「同着か……」と嶋さんが膝をついていると「待て、嶋」と声をかけた真田が嶋さんの上着を脱がせました。するとそこには10キロほどのウエイトを付けている嶋さんの姿があり……「やっぱり」と苦い顔をする真田です。 なんでそんなこと……、ほんとなら勝てたのに……という周りの声を耳に入れつつ、保大時代のトラウマを思い出す嶋さん。 また、同じ条件で戦いたかった……と。 「次は絶対勝ちます!」 真田にそう宣言しつつ、また一から訓練積み直しや、と嶋さん。 いや気持ちは分かるけど……そういうのはリレーみたいな団体競技じゃなく個人種目でやれ、な? 隊長として三隊を優先させることより、個人の意地を取ったのはまあ、彼らしいっちゃ彼らしいけど。またとない機会だったってのも分かるけど。さらに三隊のメンツはそういう男の意地を分かってくれそうだけど。 自分だったらどうかなぁ。これが一年でも保大のときに真田たちとかぶった時期があったとしたら「あーまーた嶋本先輩がやらかしてるよ」って苦笑いで済ませたように思うけど、そうじゃなかったら隊存続のかかった競技会でハンデを付ける隊長……オージンジ対象かもしれんな……。 まあ、嶋本、お前今日隊員たち全員にメシおごれ。な? 気持ちは分かってもらえると思うぞ。 「じゃけえど、競技会でするのはどうかと思いますけぇ」 「えー、もういいじゃん終わったんだし!」 苦言を呈する大羽とヨユーっす理論をかます大口が容易に想像できる(笑) まあどう収束しても三隊最高(笑) どうでもいいが、身長つーか足の長さという最大のハンデを最初から背負ってんだからウエイトなんて付ける必要ないよなぁ……と失礼ながら思いますね。まあ漫画的に嶋さんが真田に勝っちゃったらまずかったんでしょうけども。 さて第三種目はドルフィンリレーです。 「長倉隊長、まだチャンスはありますよ!!」 新人に慰められている長倉です(笑) 塾長ファンとしてはまじめに四隊の日常見たいです。長倉・塾長コンビすげー楽しそうだし、ちょっと頼りない長倉隊長と隊員の面々とかもすごく見てみたい。 えー、フル装備ドルフィンリレーはここにきてボディブローのように徹夜明けの六隊にききはじめてものっそ六隊遅れております。 ちなみにぶっちぎり?一位は四隊です。さすが塾長です。今度こそマジっす。 「やったあ!」 「一ノ宮さんすごいっ!」 「あったりめーだろ、汚名返上だ!」 塾長、最高っす。 地味に二位が三隊です。三隊も若い隊みたいなのに、この隊地味に能力高いっぽいですね、必ず一位か二位取ってるし。さすが隊長自ら「もちろんみんな能力高いし!」って笑顔だっただけあります。 えー、そして周回遅れでゴールしてしまった最下位の六隊はマイナス30点となり解散となることが決定してしまいました。 読んでいる方としては「どうせ解散とかしないんだろ?」ってハナから思っていたので全く緊張感のない場面です。 しかし基地長は「こんなこともあろうかと」理論で「これが最後の競技だ」と言って、疑似転覆船からの救出訓練をしろとA水槽を波高2.5メートル、流速3ノットの状態にしました。 まず一番手は六隊、その六隊の奮闘を見つつ基地長は自身が現役だったころのトラウマを思い出しつつ波高3メートル、流速5ノットにアップさせます。 かつて流速5ノットの壁に阻まれて酔う救助者を助けられなかったトラウマ。この三十年、進歩がなかったとは言わせないぞなんて思いつつ見守る基地長です。 ……まあ見てるこっちとしては奴らが5ノットをクリアできるの知ってるから、なんだかなぁという感じです。 特に教官役の三人、六隊を見下ろしつつ鬼に戻ってます。 「こんな訓練何回もやっとるやろ!? 俺らに恥かかす気か!?」 「限界越えたところでやれなきゃ意味ねーだろ!!」 黒岩・一ノ宮・嶋本がこんな風に揃った場面は初めてみた。トッキュー自慢の教官布陣(笑) そんなこんなで、基地長は自分たちの時代にできなかった流速五ノットの壁を今のトッキューの面々がすでにクリアしていたことに唖然とするのでした。 これは……正直……ねーよ、と思いました。 仮にも基地長になるような人物が、現在のトッキューの実力を知らないってどういうことなのよ……。お前はいったい何をしていたんだ? 訓練結果のデータ見るだけでも一目瞭然じゃん。意味がわからん。 海保の人って基本的に自分と関係ない部署でも周知が異様に速いんですよね。それこそ特救隊が今日どこどこに出動した、とかまで知ってる。現役を退いたOBでも知ってたりするのに、現役のしかも基地長が知らないってほんとどういうことなのよ。 これを踏まえて三隊に怒鳴りつけてた場面とか思い出すと、もはや呆れを通り越して何も言えない。 おまけに六隊の奮起を見て「次は俺たちに!!」と立候補を始めた他の隊を見てこう言う基地長。 「バカ野郎! いつ出動かかるかわからんのだぞ!」 「そんな……理不尽な……競技会やろうっていったのは基地長じゃ……」 「俺なんかより海難現場のほうが理不尽だ!!」 笑ってなんだかいい話のようにして競技会を締めた基地長です。 悪いけど、全然いい話じゃないよ…………でももはや呆れて言葉が浮かばない……。 まあそんなこんなで解散はやっぱりナシになりました。 ある日、羽田基地にはインドネシアにいる南部隊長から真田の元へプレゼントが届きました。 なんでもサラックという果物が気に入っていたので、南部隊長に送ってくれるよう頼んでいたらしい。 さっそく六隊存続パーティということで、兵悟の家に集まってその果物を食べることになりました。 台所にユリちゃんが立って「手伝おう」なんて真田もやってきちゃったりして、良い雰囲気です。 やっぱり真田とユリちゃんはお似合いです。兵悟も「真田さんなら仕方ないよ」なんて情けないこと言っております(笑) 真田はサラックを食べながらインドネシアでの経験を思い出します。 常にサプライズの連続だった、と。だから六隊も面白くしていきたい、と。 ……真田はどこへ向かおうとしているのだろう……。 兵悟も不安なようですが、私もものっそ不安ですよ。 そしてある日、ハイエースで移動しているとマンションの火災現場を通りかかった六隊。消防がまだ来てない様子なので現場に向かうことになりました。 いったい真田隊はどこへ向かおうとしているのだろう……、というところで以下次巻です。 □十七巻私的ベスト台詞。 ベスト、ではないんですけど印象に残った台詞。 「ヨユーっす!」 大口のこれ(笑) これほど大口というキャラを端的に表している台詞もないと思います。これぞ大口の神髄、みたいな。 さらにはアンドリューの気持ちも痛いほど分かりました。 大口は自分に自信があるけどもそれは決して過信ではなくて、いわゆる「できる男」なんですよね。 エリートコース乗ってるし、実力あるし、ルックスもそこそこいいし。 こんなのが同期にいたら絶対イヤですよね(笑) |