+ トッキュー!!感想 +



第十二巻
□一二巻。
とある非番の日、兵悟は嶋さんと一緒に釣りにやってきました。
とは言え、朝の四時に叩き起こされて強制的に連れてこられたらしく「たまにはレスキューから離れて海を見るのもええもんやろ?」と朝日を受けながら少年のような笑みを漏らす嶋さんに対して早速居眠りをかます兵悟です(笑)
これはほんと、兵悟ご愁傷様ですって感じです。
なんで非番の日まで上官のパシリなんてやらなあかんのや……、ふつうにウゼえぞ嶋本隊長。
まあ、嶋さんはねー……こうしてプライベートな部分で兵悟に構っちゃうあたり、やっぱり兵悟のことを個人としては気に入っていると思うし、嶋本隊長と兵悟隊員の関係は非常に好きなので良いんですけど……私が兵悟だったらすごい鬱陶しいだろうな(笑)
この釣りスポットは嶋さんが昔救助したオッサンにお礼に教わった場所だそうで。まあ多分そんなに危ない状態じゃなくて普通に話せるくらいの状況で釣り談義で一頻り盛り上がったんだろうなーと思うと微笑ましいというか嶋さんの人柄が垣間見える場面ですね。
まあ、ヤツは15年くらい前はほんとに腐れ外道だったからこうして嶋さんの人柄云々て書いてるとすごい違和感あるんですけども、まあ、今が良ければ良いの、か……?
あれか、ジパングでいう尾栗三佐みたいなもんか……彼、すげーいい人で部下思いでしたけど、元暴走族みたいだし……。元暴で防衛大卒(しかも現役)で海自のエリートかと思うと、嶋さんより大分レベルたけえが……まあ目立つほどヤンチャやってたらそもそも自衛幹部になれないし遊びみたいなもんだったんだろうけど。ああ、尾栗三佐……今は、一佐か……(涙)
元ヤンの雰囲気、今はすげーいい人で部下思い、佐官様なのに軽すぎるフットワーク、航海士。なにげに嶋さんと共通点多い尾栗三佐です。しかも福岡出身。ああ、おぐりん……(涙)
なにげにジパングの主役も佐世保出身なんですよね。まあ佐世保って言ったらまず自衛隊&米軍だからネ。おぐりんと嶋さんは歳近いし出会えば絶対意気投合すること間違いなしだろうなぁ……、なんてついおぐりん大好きだからついおぐりんトークになってしまった。しかしおぐりんは結婚出来ているというのに嶋さんときたら(略)
さて話を戻して。
ビールを買いにいかされた兵悟は防波堤の所に不審な女性を発見して声をかけに行きました。当然女性は逃げちゃったわけで……それを嶋さんに報告する兵悟です。
まあ人の目のあるところだし入水なんぞできんだろう、と嶋さんは考え……自分の目では絶対に見えない防波堤の様子まで分かっちゃった兵悟に以前から募らせていた疑問を更に募らせます。そんな最中にも兵悟は「うわー、あの人40センチのメジナ釣れてる、うまそー」と嶋本視点では豆粒にしか見えない人の釣れてる魚まで言い当て、更にはその人の遙か遠方を走っている船の名前まで言い当て、双眼鏡を覗き込みながら冷や汗を流す嶋さんです。
「神林、お前ひょっとして……」
嶋さんが何かを言いかけた時、浜の方から悲鳴が起きました。
「どうかしましたか!?」
慌てて駆け付けると、女性が一人服を着たまま海に入っていって、つい今高波に呑み込まれてしまったそう。
遺書らしきものを発見した兵悟は「さっきの子だ!」と上着を脱ぎ捨てて海へ。
嶋さんも近くの人に救急車を呼ぶよう指示を出すと、上半身裸になって海へ。しかし透明度はゼロで、マスク潜っても何も見えない、と歯噛みする嶋さんを余所に「いました、10時の方向です!」と兵悟さん。言われたままに潜ってみるけどやっぱり嶋さんの目では何も見えず、「いったいお前にはどんな世界が見えとるんや?」と考えているうちに兵悟はさっきの女性を確保しました。
どうでもいいですが、嶋本隊長だけ上半身裸なのは何かのサービスでしょうか? や、まあ脱いだ方が泳ぎやすいから当然だけども。ついでにほんとならズボンも邪魔だよね。
えー、人工呼吸担当(嘘)の嶋本進次氏が人工呼吸をし、兵悟が心臓マッサージして女性を蘇生させました。……羨ましいと思ってしまった嶋本ファン、挙(略)
やー、しかし、海水に濡れた嶋さんはマジいい男ですね。ほんと水も滴る何とやらです。
なぜ海の中で見えた? という嶋さんの問いに「海の中はマスクないほうがよく見える」と答えた兵悟。それを聞いて嶋さんは強制的に兵悟を病院へ連れて行くのでした。
どうでもいいが、お前らズボンずぶ濡れだろうに着替えは? 嶋本カーに着替え積んでたんか? どうでもいいがビール飲む前で良かったよなぁ、いくら横浜市内とはいえ多分車だったんだろうし。
まさかずぶ濡れの状態で病院歩いてるんじゃ……いやああああ!!
と言うことで、兵悟の視力を異常に思った嶋さんは病院にて兵悟の目を徹底検査することにしました。
単純に目がいいだけだと思っていたけども明らかに異常だ、と考え込む嶋本隊長です。相変わらず嶋さんの手は大きくてゴツゴツしててカッコイイです。小さくて童顔なのにそれ以外はほんと男っぽいんだよなーこの人。そしてそこがいい(笑)
結論から言うと、兵悟の視力はなんと6.0。かつモウケン族のように水中でも変わらない視力を維持する能力があったようです。
俺の七倍の視力かー、と嶋さん。え、あなた0.8〜9くらいしかないんですか裸眼……それ日常ならいいけども運転するとき怖くね?
さて、無事に検査も終わって帰ろうとする二人ですが、ふと先ほどの女の子もこの病院に搬入されていたことに気づいて、お見舞いに行くことにした兵悟。と多分止めただろうけど兵悟が突っ走って付き添わざるをえなかっただろう嶋さんです。
ベッドで女の子は反対向いたまま反応せず、「やっぱりまだショックが……」と言う嶋さんに「あらー大丈夫ですよー、男にフラれるたびに狂言自殺するんですからー」とお母さんです。
な、なんてハタ迷惑な娘……。お母さんもけっこう酷いけど、これはダメだろ。
しかし兵悟は女の子を庇います。
「絶対に死ぬという思いがないと入水自殺なんて選びませんよ」
これには嶋さんも思うところがあったようで。
「今日は波も高く、まだ水温も低かったです。そんな海に足をつけることはできたとしてもだんだん深くなっていく恐怖は耐えられるものではありません。それでも引き返さず進んでいった。波に飲まれ、水の中で地獄のような苦しみだったはずです」
レスキューのプロにこう言われちゃうと、本当にそうなのかな、って思ってしまいますよね。
女の子は自分なんか消えたほうがいいって思ったけど、胸まで浸かった時に引き返そうとして、でも既に無理で苦しくて死にたくなかった……と心情を伝えて、お母さんも娘さんに謝って一件落着?です。
その様子を見た嶋さんは「視力も凄いが、ほんまに凄いんはお前の気持ちがめっちゃストレートにでるその眼力やったな」と。
でも女の子に「そうやって誰にでも気があるフリするんでしょ、どうせ女いるんでしょ!?」と言われ「え、いないけど……でも友達になろうよ!」なんて返事をしてる兵悟を見て「女心は全然見えとらんがな」などとも思う嶋本隊長なのでした。……あの、あなたは見えてるんですか? 女心……などと思ってしまったことは秘密です(笑)
年齢ゆえか、一応嶋さんも女の子助けたのに、フラグすら立たないところがまた……ファンとして嬉しいのか悲しいのか微妙な心境です。
さて、今回の検査や彼女への態度を見つつ隊長は改めて考えます。
嶋の三隊に必要なのは神林。……そう真田が進言したのはこのことに気づいてたからなのか? と。
いやいやいやそりゃ買いかぶりすぎです。ヤツはそこまで深く考えてねーYO!!
こいつの使い方によっては三隊のレスキューが変わるかもしれんな。――などという意味深な伏線が張られますがまるっきりなかったことになるのでスルーしてOKです。

つーかこの話に二話割いてまで伏線張ったのにスルーって意味がわからん。
この漫画はそういうのが多すぎるというか、伏線張るのはなかなか上手いんですが、回収するのがイマイチというか下手というか。
あと、全体的に構成がかなり下手ですね……ペース配分というか、そこに割く尺があるならこっちに割いたほうが良いということや今やるべきことじゃないことをダラダラやったりしてダレてることも多々あったりするので、その辺がちょっと残念な所です。

まあ、そんなこんなでまるっとスルーされる伏線を張って閑話が終わり新章突入です。
大口と兵悟は歳が近いせいかすっかり仲良し。なにげに大口は兵悟のこと「兵悟」呼だしね。でも大口は将来的には兵悟ではなく大羽がお気に入りっぽいよね。……これが真田信者か嶋本組かの微妙な分かれ目のラインかな、なんて思ったり(笑)
そんな大口と兵悟が防災基地から羽田へ戻ってくると、なんだか基地内は慌ただしい雰囲気でした。
貨物船座礁で四管へと出動した一隊から連絡が入り、三隊は出動待機となったそうです。
一隊と言えば黒岩隊です。ということはタカミツのいる隊なわけで……厳しいらしい状況を聞き、タカミツを心配する兵悟です。
当の一隊は……ピューマで四管まで行っておりました。
うおい、四管のどこだよこれ……どんな空路取ったんじゃい。場所によっちゃ行って帰ってくるだけでいっぱいいっぱいじゃん。
現場は降下するのさえ無理な状況でピューマは立ち往生。
該船から巡視船に救助された人は「はやく助けてくれ、まだ生きている人間が残っている」と訴え、巡視船の保安官達は「トッキューは何やってんだ!?」と空を見上げ……四管の警救課長さんは「何のために訓練してるんだ!? トッキューだろうが! 早く行け!」と憔悴気味。
早く降下しろ、と警救課長にせっつかれて悩む黒岩隊長です。
「黒岩隊長、早くしないと燃料がもたない」
ああやっぱり……。コパイの富岡さんにそう言われていよいよ悩んでる時間もありません。
該船はワイヤーがそこいら中に張り巡らされて揺り返しは45度以上。降下するスペースさえない状態です。
障害物を避けて高々度からのリペ降になれば危険度も増すわけで……自分のスキルではまだ無理だ、とタカミツ。勇敢にも「自分が行きます!」と言った一隊トップのスキルを持つ尾瀬隊員ですが、隊長に成功の確率を問われ「三割……いえ二割」と答え、当然反対されます。
該船の周辺には重油が漏れだして落ちたらヤバイ状態です。重油がどのくらいヤバイかっつーと飲んだら下手すれば死にます。
――結局、黒岩隊長の出した答えは「降下は不可能です。隊員は犠牲にできません」ということでした。
三隊はテレビ中継にて現場の様子を知り……みんな渋い顔です。
「他の隊でも結果は同じやった。トッキューにもまだ限界があるんや」
隊長がこういうからには三隊が行っていたとしてもダメだったんでしょう。
兵悟はエプロンにピューマが着陸するや速攻でタカミツの所へ向かうんですが、やはり要救助者を見捨てた形で帰還したタカミツは想像以上に落ち込んでいて涙で頬を濡らしており……兵悟は言葉をかけることが叶わないのでした。

まあ、慣れろとは言いませんが……新人にはキツイ現場ではあったと思います。
これ……沖合どのくらいの現場か分かりませんけども、警救課長さんは素直に「空自さんお願いします!」って自衛隊に頭下げて来てもらったほうが良かったんちゃうやろか……とも思います。特に悪天候ってわけでもないし、中継できるほどなら陸から近かったんだろうし自衛隊呼ぶほどの現場ではなかったのかもしれないけども。
彼らならホイストで降下できそうな気もするんですけど……そもそも捜索に避ける時間というか滞空時間が桁違いだし。それに必要だと判断したら奴らなら成功率二割でも降下するべ。……まあ、そうしたらトッキューの意味がなくなるからアレだけども……。

今回の失敗を受け、黒岩隊長は基地長に進言し「どんな状況下でも降下可能な装備を開発する」プロジェクトを立ち上げました。
中心メンバーは一隊と三隊。
開発に勤しむ一隊・三隊チームが何をしているかさえ知らなかったメグルは四隊メンバーにプロジェクト内容を説明され「もしこれで開発できれば、消防も注目する新しいレスキューができますよ!!」との言葉に引っかかるのでした。
最初に読んだときは気づかなかったけど、メグル、この時の「消防も注目する」って言葉がかなり引っかかってたんですね。これ言ったの誰だよ、長倉か? 余計なことを……と思わずにはいられない。
さて、一隊・三隊はあくまで一保安官なので実際に一から何かを作り出すのは無理でしょう。そこで、海上保安研究センターから助っ人を呼びました。
「おっと、そろそろ来るころやな」
そう言ってダイバーズウォッチを覗き込む嶋本隊長が素敵です。つか、ダイバーズウォッチって嶋さんの男前度を数割上げてるアイテムだと思います。インカムといい、小物似合いますよね。
そんな嶋さんの呟きと共に現れた研究員は橘技術主任。装備開発にかけては我が社随一のエースだ、とは嶋本隊長ですが……海保のこと我が社とか言ってる所になんつーか、加齢臭が(略)

えー、非常にやる気がない感じで申し訳ないんですが……装備開発とその後の構想を見た段階でこれは、数年前海保が各部門集って共同開発したM2スライダーまんまだと読めた上に、その後M2スライダーが使われるであろう場面もこの流れからめちゃくちゃ読めてしまって、なんかこう釈然としないんです。
例えるなら「本因坊秀策は藤原佐為の入れ物だった」ということが公然とまかり通っているような釈然としなさというか。

えー、M2スライダーですが。今までのカラビナ使ったヤツと何が違うかというと離脱速度が数秒縮まったのが画期的で話題になっていたと記憶してます。あとクルクル回転することもほぼないので、いつぞやの大羽の「回っとるで!」みたいな情けない状態が起こりにくいということでしょうかね特徴的には。
橘さん曰く、名付けて「スパイダーアタック」だそうです。
着々と開発されていく新型降下器。試作段階で既に完成品のM2スライダーぽい気がするんですが……、私も試作機見てないから何とも言えないけど、試作段階からあの形だったのかな?
それともこれは漫画だから漫画は漫画としてオリジナル? うーん、わからん。
ともかくこれは一隊と三隊が中心となったプロジェクトです。よって先ほども言いましたが四隊は蚊帳の外です。しかしメグルはそんな一隊・三隊を盗み見てなんとなく新降下器――T9スライダーとでもするか――の使い方を勝手に覚え、不穏な雰囲気です。
しかも盗み見て覚えている時に悪いことに海難通報が入ってきました。当直の四隊、出動です。房総沖で貨物船座礁。
今度はピューマで全然OKな場所ですね。しかもまた恵子様のチームですよ。お前ら休みあんのかYOと問いたい。
現場はこの間の黒岩隊の再現のような状況です。
「隊長、どうしますか!?」
「機長、あと一分考えさせてくれ」
恵子様とオッシーの会話です。これぞ正しい機長と隊長の会話です。恵子ちゃん、嶋本隊長の時もそういう感じでいこうか。ん?
考えるオッシーに対し、進言したのはメグルでした。
「降下する方法はあります」
と。そうです、メグルはなんと勝手にT9スライダーをくすねて持ってきていたのでした。スタティックロープまで持ち出して「やり方はさっき見て覚えました」とメグルです。
…………いや、うん、なんというか、ねえ。
「何考えてんだ石井! それは試作品だぞ!!」
止める長倉に盛大に同意ですよ。もっと言うならこんな時のために下総や館山に救難隊がいるんだからここは「空自さん海自さんお願いします!」と自衛隊に頭を(略)
しかしメグルさんは食い下がりました。
「トッキューにやれんレスキューがあるなんて、オイは認められん!!」
メグルは、後々分かることですがハイパーレスキューに行きたかったという夢は破れて、でもせっかく消防士になって将来はきっと優秀な消防士になっただろう人生を蹴って真田を追うためだけにトッキューに来た人間なので、やっぱり消防にコンプレックスがあるんだと思います。消防より海保が上だということを証明しないと自分がバカみたいですもんね。
まあそう考えるメグルが一番バカだというツッコミは置いておいて。
こう考えてしまうこと自体はアリなんですが、そもそもアホらしい気がします。海保は海難に関しては場数こなしてるから慣れてるし、消防だって陸に関しては有利だし、そのふたつがお手上げになった時には自衛隊の精鋭連中がやってくるわけで、メグルの考えは割と無駄かつ無意味。
トッキューにもまだ限界があるんや、とは嶋本さんのお言葉ですが……、なんと言うか、隊員の能力はともかく物理的な問題で海保は海保の限界までしかやれないという現実があるんで……こう、現場にメグルが言ったようなことを持ち込むのは非常に危険だと思います。
しかも、メグルはプロジェクトに関わっていたわけでもなんでもなくただ盗み見て勝手に持ってきただけだし。
「ダメだ、いきなり本番で使うなんて危険すぎる!!」
by長倉。と言うわけで、私は長倉派。しかもプロジェクトの一員としてずっとT9スライダーに関わっていたのならまだしも、ついさっき盗み見た人間に何が出来るというのか。
しかし、オッシーはゴーサインを出しました。降下に関してのみはメグルの実力は四隊でトップということで、オッシーはメグルの可能性に賭けたんでしょう。
地味にこの場面は機長にホールド位置を伝えるホイストマンが良い味出してました。地味なようですがホイストマンの腕が良いか悪いかってのはかなり重要ですからね。
そしていざ降下したメグルは……該船の障害物に激突してそのままデッキに叩きつけられ大怪我です。
羽田の基地にもすぐ連絡が入り、受けた嶋さんによるとメグルは横浜市内の病院に搬送されて現在は集中治療室にいる、とのこと。
戻ってきたオッシーによれば、メグルはデッキに叩きつけられたあと意識不明の状態で海に投げ出され警救艇に救助されたそうですが……えっと、巡視船も警救艇も近寄れないからトッキューに出動要請が来たわけで。しかもメグルは離脱前に事故ったから身体にロープくっついた状態なわけで……。
ピューマでぶら下げたまま波高の安定した場所まで持っていって警救艇に拾ってもらったんか……? そしてまたピューマに戻して病院に搬送したのか? どっちにしろなぜ横浜……、房総沖にいたんなら千葉の病院に運ぶべきなんじゃ。それにそんなヤバイ状況なら、それこそ館山基地に着陸許可もらえYO。恵子様しょっちゅう研修で行ってるはずだし、海自のあの基地には。
ていうかなぜ横浜……中途半端……。
まあしかし、トッキュー始まって以来の大惨事です。
橘主任は項垂れて「自分の責任です」と。長倉は「だから俺は反対だったんだ!」と。そんな長倉に兵悟は「俺がメグル君でも絶対使ってました!」などという「いやそれ嶋隊長許可しねーから」的な擁護をかまし……オッシーはそんなみんなを宥めるように冷静に「降下を許可したのは俺だ。部下一人を事故らせた責任は全部俺にある」と。そして長倉の肩を叩き「あとは頼む」と基地長の所へ報告に行くのでした。
涙目で返事をする長倉がなんともいえず……副隊長時代の嶋さんを思いだしてしまいますね。
さて、兵悟は一足先に病院へ行っていた嶋さんの元へ駆け付けました。
みんな辛いでしょうね……。
恵子様も辛そうですね。自分の操縦してたヘリで事故ったんだし、そもそも伊藤さんのことがあるし、こういう時パイロットは辛いだろうなぁ。ホイストマンも絶対辛いだろうなぁ、指示はあれでよかったのか?あの位置で良かったのだろうか?って考えちゃうよなぁ。
メグルは結局五日経っても目を覚まさずに、事故原因も分からないまま時間だけが過ぎてある日、各隊の隊長・副隊長と基地長、専門官が集い降下方法の今後についての話し合いが行われました。
「――隊内で協議した結果、降下方法の開発推進よりも現状維持のまま訓練において更に精度を高める方向で一致しました。二隊としての意見は以上です」
南部隊長の発言です。うむ、素晴らしいね二隊の団結力は。この南部隊長の発言だけで二隊は統率のとれたまとまりのある隊だと分かります。
五隊は推進派と反対派に分かれている模様。
そして、どうやら黒岩隊長も迷っている様子で……そこにご意見したのは我らが塾長でした。
「ハァ? 開発の言い出しっぺが今更何いってんの?」
イエス、塾長! 塾長はこのプロジェクト自体にはなにも問題はないという見方でした。厳しいですが塾長の意見は以下の通りです。
「はっきり言っとくけど石井が怪我したのは自業自得! 試作品をいきなり使ったのはアイツのミス! それだけだろ?」
イエス、塾長! その通りであります! 私も100%同意であります! さすがです!
しかし、そんな塾長に異議申し立てをしたのは……これまた我らの隊長でした。
「せやけど石井は、あんな生意気なヤツでも俺の教え子なんですわ。まだ原因は降下器のせいかたまたま障害物と接触しただけか石井が意識を取り戻して話を聞くまで特定できません。今、無理にこのプロジェクトを進める必要はないと思います」
隊長……! 申し上げ憎いのですが、前半と後半の発言に繋がりが見いだせません……! これだと「俺の可愛い教え子が怪我したからもうやめる!」って言ってるただの感情論にしか見えません!
というか冷静ぶってるけど、マジで教え子可愛さで感情的になりすぎなんちゃいます?
そりゃ塾長も微妙な顔するわ……、本来なら三隊として意見をまとめた上で会議に出席すべきなのに、会議で副隊長と隊長が正反対の意見で互いを否定しあうとか……ねーよ。二隊を見習え、二隊を。
まあでも、今プロジェクトを進めるべきではない、という意見は慎重派の嶋さんらしい意見ですけどね。
しかしながら「せやけど〜」と言い始めた嶋さんのカッコ良さハンパねぇ……! この人、ほんとに手元に色気あるっていうかこの手が男前度アップさせてるからなぁ。ついこの男前に騙されそうになるけど、塾長のが意見としては冷静だと思います。明らかに試作品使ったのはメグルのミスでありオッシーのミスでしかないし、あんなのものを持ち出したメグルの自業自得でもあります。仮に成功していたとしても、やはり責められることですから。「せやけど俺の教え子やから〜」でチャラにできる問題じゃないです。
まあ、隊長のこの感情論に乗せられてプロジェクト中止のほうこうでまとまりそうな中に飛び込んできた人物がいました。
「見直しなんてしないでください!」
兵悟です。事故が起きた今だからこそ降下器開発を進めるべきだ、と。
「頭冷やせ、神林!」
止めに入った隊長ですが、「今の俺はお前よりは冷静だ」と兵悟に言って欲しいかも(笑)
まあ兵悟の乱入で場は更に混乱しちゃうわけで、黒岩隊長が皆を一喝しました。
「トッキュー主義は、一枚岩で立ち向かうところにある」
皆の足並みが揃わないのならこのプロジェクトは一時中止だ、と。
これでまたいつもの業務に戻り、いつもの日常にメグルだけがいない日々です。
「絶対死ぬなよ、メグル……」
「うん、今は……祈るしかないね……」
大羽と星野君も揃ってメグルをお見舞いに行ったりしてるようです。持つべきものは同期だねほんと。
兵悟はどこか魂が抜けた状態で……。ユリちゃんや佐世保の坂崎さんも心配してずっと電話かけたりしてるんですがどれも受け取っていない様子。
そんなとき、兵悟の元にかつての恩師から手紙が届いて、兵悟は恩師のもとを訪ねてみることにしました。
この度、本庁を退官になり国立商船高専で教鞭を取ることになったそうです。え、天下りだろうって? いやいやいやいや、いやいやいやいや(笑)まあ、昨今そんないやな言い方をされますが、私は別にそうは思いませんけどね。
兵悟は保校時代に世話になった恩師こと近藤教官を訪ねて伊豆の大浜商船高専までやってきました。
女子も男子もオシャレしてて保校との違いに驚いている様子の兵悟です。まあ保校と比べれば何処でも……と思うけど、国立高専のフリーダムな空気は特殊だから、あれを一般校と同じと思ってもらってはちょっと……微妙かもなぁ。
久々に近藤教官に会って笑顔の兵悟ですが、無理して笑っているのを教官は見抜いていたようです。
近藤教官はメグルのことも教えていたらしく……。益々分からなくなるメグルと兵悟の海保歴。まあ、後々矛盾が出るけど、メグルは兵悟の後輩ってのが時系列的には一番しっくりくるんですけどね。
教官の話によるとメグルは保校時代から根性ひん曲がっていたそうです。やはりな(笑)
落ち込む兵悟を海へ連れて行って、近藤教官は水泳勝負をふっかけます。自分に負けるようなことがあったらトッキューを辞めろ、と。
原点を思い出せ、と言われて兵悟は泳ぎながら自身の保校時代を思い出すのですが――。
以下回想。
高校卒業したての兵悟は夢いっぱりで海上保安学校へとやってきました。
今より髪の長い兵悟、くりくりお目目で可愛らしいです。普通にモテそうです。
しかしメグルがヤバイ時期に暢気に回想なんてやってる場合じゃないんじゃないの? と思いつつ以下一三巻へ。

さて、十二巻にはおまけが付いてます。
トッキューとゴッドハンド輝のコラボ漫画「共鳴〜レゾナンス〜兵悟と輝」です。
私はこういうお遊びコラボというか、クロスオーバーものは大好きなのでとても面白く読めました。
自分の好きな作品とコラボってくれたらもっと面白いんでしょうが……残念ながらゴッ輝は読んだことありませんのでその事に関しての予備知識はゼロでしたけども。
しかしタイトルだけは知っていて、ゴッドハンド輝……ゴッドハンド……神の手……つまり「俺のこの手が光って唸る!」……Gガンダムの系譜……=バキっぽい漫画に違いない! という素敵アクロバット解釈をしていたので、少女漫画風な絵柄の医療漫画だったと言うことにしばらくショックを隠しきれませんでした(笑)
三隊大好きな身としては、三隊の活躍が見られるだけで嬉しいってものです。
えー、ゴッ輝ですが、輝というお医者さん(見た目すげー若い、一部メッシュで新藤ヒカルのよう)が主役で、務める病院の名前は安田記念病院。通称「ヴァルハラ」というそうです。
……なんて不吉な二つ名……。行ったらあの世行きになりそうだなオイ、なんて思ったことは秘密です。つか、悪趣味すぎる。実際不吉だからそう呼ばれてるのか?
えー、今日は洋上救急の慣熟訓練日。ということで、横浜海上保安部の大型巡視船PLH型にてトッキュー三隊と安田病院の方々は合同訓練を行っておりました。今回は「おず」ではないので星野君の出番ナシです。さらに今回はPLHなので搭載機であるベル212の出番であります。シーダック君と言うらしい。もはや羽田の「わかわし」を「わしたか」にチョイ変えしたような捻りは一切ナシの方向で行くようです。
まあ、私の中でベルと言えば世界最初の攻撃ヘリことベル社のコブラです。ヘリボーン作戦を行う際に地上の待ち伏せ部隊というのはやはり一番厄介なので、ババババと攻撃ヘリで辺りを一掃してからバッとファストロープ降下するのは常套手段ですよね。攻撃ヘリカッコイイよね!! すぐ撃墜されるイメージあるけども!!
とまあいつもいつもいつもいつもピューマwithチーム五十嵐だったので、ベル212の登場で少しばかりテンションが上がりました。
おまけに何ノットか分かりませんが走行中の巡視船に着船しての登場ですよ。動いている所を見ないことには何とも言えませんが、これは結構高度な技術を要求されるものです。まあ、この船所属の機体とパイロットでしょうから朝飯前でしょうが。
飛行機に乗った時もそうなんですが、離着陸ってパイロットの腕が出るんですよね。私、飛行機に乗ったら必ず機長の名前をチェックしつつ離陸が上手かったら「おお、今日の機長上手いぞ」なんて思ったりするんですが、着陸が微妙だったりして……得手不得手あるんだなーなんて考えたりします。ヘリも本当に上手い人は、ほんとにフワッと降りるんですよね。こういうのは漫画では分からないけど、今回のパイロットはどうだったのか気になるポイントです。
さて、輝先生はどうやら船酔いならぬヘリ酔いをしてしまった様子。しかし輝先生、あんなうるさいヘリの中でヘッドフォンしてねぇ……! 耳強いっすね。
兵悟と輝先生は何だか気が合っている様子。ちょっとばかり輝の偉そうな態度が気になったけども、まあ医者だしあんなヒカルみたいなルックスでも兵悟よりは大分年上なんでしょうネ。
そんな折り、千葉県沖7キロ地点にて貨物船同士の衝突事故が発生しトッキューに出動要請がかかりました。
当直隊より三隊のほうが現場に近かったので直ちに出動する三隊@巡視船。
どうでもいいけど、お前ら横浜所属のくせにまた神奈川より千葉に近いところで訓練してたのかよ(笑)
しかも警救艇に飛び乗って現場に行ってるし、マジで近いところにいたらしい。
「トッキューに出動要請」って言われた途端、顔つきの変わった嶋本隊長や高嶺さん、小鉄が素敵でした。
該船のうち一つは火があがっていて、火元は機関室。三隊は全員ライフゼムを着用しての船内捜索です。
兵悟は大口とバディを組み、「要救助者は厨房にいる!」と厨房へ向かいます。しかし厨房のドアは油で濡れた手袋越しでは開かず……兵悟は手袋を脱ぎ捨てて高熱のドアノブを素手で開けるのでした。……熱いね兵悟。しかし別の意味で熱い。油も付いてるんだろうし。
要救助者は兵悟の予想通り厨房にいました。すぐにホイストで吊り上げる兵悟。その様子を船から見守る輝。
ってか近けえええ!! そんな速攻で辿り着けるほど現場の近くにいたのかよお前ら!!
それなら事故前後にいち早く気付けよ!! その大型船のレーダーは飾りか!? しかもさっきまでシーダックで飛んでたんだろ!? 気・付・け!!
えー、輝先生は無線で要救助者は怪我人という内容を横聞きして無線を奪い取り状況を聞きます。
割れたガラスが刺さって脇の下から血が止まらないということで、患者の現状を腋窩動脈損傷と断定。ようするに脇の下の動脈にガラス刺さって出血多量の畏れありってことですね。
一刻も早く処置しないと右腕が使えなくなる……って高嶺さんが。と兵悟です。ちなみに兵悟がなぜ厨房に要救助者がいると分かったかというと、海上にガスボンベが浮いていたのを発見したからです。引火したら爆発するガスボンベを捨てた人がいるに違いない、と思ったからこそ厨房に行ったのだとか。
この人にもう一度料理をさせてあげてください、という兵悟の話を聞き「俺がオペをする!」と輝。「分かりました! あとはあなたに預けます!!」と兵悟。うおい、いちトッキュー隊員のお前が何勝手なこと決めてるんだYO! とつっこみそうになりましたが、正式に指示が降りたらしくシーダックは巡視船に着船。
塾長はヘリ酔いしてた輝を信用ならずに「やっぱヘリで病院に運んだ方がよかったんじゃねーのか?」と心配気味。たぶん隊長も塾長寄りで、「せやかて洋上救急の正式な指示も出たし……」と。いいねぇ中間管理職(笑)
そしてここは救命士・高嶺嘉之の地味な活躍の場でもあります。地味すぎて、というか輝SUGEEEタイムなのでいるのかいないのか分からない状態ですが(涙)
ていうか海はさっきまで穏やかだったはずなのに、いつの間にか波高6m状態になってます。いきなり時化すぎだろオイ。と言うわけで船はゆれて手術ままならない状態だったんですが、兵悟の進言により航路を変えることで揺れが収まりました。
……いや、主人公が活躍してくれるのはいいんだけど、仮にもこの船は日本に数隻しかない2機搭載型のPLHなわけで。そこの航海士がトッキュー隊員とは言えただの航海士補に進言されて現在手術中の船の揺れを抑えるとかどんだけですか。自分たちで機関士に指示出せよ。……あ、近くの大型貨物船の衝突にも気付かない方々でしたね、それは失礼しました。
つか嶋本ォォォ! お前仮にも主任航海士だったんだろおおお、輝が高い手術台用意してた意図に気づいたんならそこにも気付けYOOOOO!!! ……い、いやきっと気づいてたけどきっと巡視船の人々が最大に配慮してこの揺れなんだと信じてたんだよネ!
つまり兵悟が身の程知らずで実際操舵室に駆け込んでみれば欠点が発見された、と。そういうことですよね! ……まあ私は兵悟好きなので兵悟の活躍は素直に嬉しいですけども。
かくして縫合は終了し、そのままシーダックで安田病院へ。先ほど高熱のドアノブを素手で回した兵悟も病院へ強制送迎です。
無事に止血をやってのけた輝のことを「ヴァルハラの名は伊達じゃないってことか」と塾長ですが、それって患者は必ずあの世行きになるってことじゃ(略)
どう考えても不吉なニックネームだよ……。
えー、兵悟ですが、幹部にワセリンを塗ってもらいラップをしてもらい治療終了だそうです。
ってんなわけねーだろ!!
軽度だったらこれでいいかもしれんが、あんな熱した鉄の塊しかも油ついてるかもしれない物体なんぞを思いっきり握った兵悟の手は今ごろ爛れて水ぶくれまみれのはず。痛いに決まってるし、取りあえず痛み止め飲んどけ。つか抗生物質処方してもらったんだろうな? あとは医者の好みだろうけど、ワセリンにしてもアズレンや抗生物質と混ぜ混ぜして軟膏作ってやるべきなんじゃ。とまあ他にも色々言いたくなりますが。
外科医の輝がなぜかすごい権力を持っていて適当に「こうしてやって」と皮膚科医に指示してその通りしちゃった、ということで納得。患部見てないし、奇跡的に超軽度、深度1の火傷だったのかもしれないしネ。
まあ、しばらく出動はもちろん訓練も出来ませんね、兵悟は……。
地味に救命士の高嶺さんは安田記念病院まで付いていっていたようです。三隊に更にお呼びがかかり、高嶺さんと兵悟はシーダックで再び現場へ。そして輝はオペ室へ。それぞれの現場へ人を助けるために出動――!
ということで終了です。
色々ありましたが、カッコイイ嶋さんが番外編でも見られて非常に満足です。巡視船の処置室に患者さん運ぶとき「頑張って!」等々励ましてたの嶋さんと塾長ですよね。すごい素敵でときめいたんですけど、その直後に患者さんの前で「あんなヘタレ」「せやかて指示が……」って話し始めるのはNGだと思うよ……。
ともあれ面白かったです。贅沢を言うと、シーダックに渋いオヤジパイロットが乗ってれば更に満足でした。

いやー、やっぱりこういうコラボ作品は良いですよね。
冒頭でもちょっと触れましたけど、ジパングの面々とトッキューキャラというのも見てみたいなぁ。飲み屋でばったり会って最初は「海自の野郎だ……!」ってライバル心剥き出しにするも「まあ飲みましょうよ(^^)」っておぐりんに誘われて意気投合したりネ!(笑)
つか、トッキューも海自で訓練させてもらったり等々あるだろうし既に顔見知りだったりしてネ(笑)
兵悟は同郷でどえらい秀才の角松に憧れたりするんだろうか? なんて考えると面白い。

と言うことで、週末のルパンVSコナンが地味に楽しみです。
世界フィギュアと被ってたらどうしよう、その時間確実に家にいないし、フィギュアをハードに、ルパンをビデオに録画するべきか云々と悩んでいたんですがどうやらバッチリずれてるようで一安心です。
ハードの整理しないと録画時間が足りないんですけども……(遠い目)
しかしながらすっごい楽しみなんですが、脚本が前川氏……。ダメな予感がプンプンしますが、こういうコラボってコラボ自体が楽しいので同じ画面に複数のキャラがいるだけで面白いんですよね。
ということで楽しみ!


□十二巻私的ベスト台詞。
うーん、残念ながら今回はナシかな。
場面込みで言えば印象に残っているのは嶋さんの「せやけど石井は〜」なんですが。私の意見は上に書いた通りなので。
あ、待ったこれがあった。
「レスキューから離れて海を見るのも、なかなかええもんやろ?」
朝日を受けての会心の嶋本笑み。この人(ヤン嶋時代からは想像もできないが)本当に海が好きなんだなーと素直に思った場面です。
まあ付き合わされた兵悟は哀れですが(^^;
バッと服脱いで海に入った隊長も凄く素敵でしたよね。

 


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