+ トッキュー!!感想 +



第十巻
□第十巻。
無事ガイドロープを張れたので、波が引いたタイミングを見計らって塾長降下です。
そして子供を二人自身にくくりつけて、あっという間にホイスト(専用の装置みたいなもん)で吊り上げ。
救助用資材使わずに吊り上げていいのか?という兵悟に「ようはくっついてりゃいいの」と言って僅か一分足らずで救助終了した塾長を見てビックリする兵悟です。当然です、塾長は大ベテランなんですから。私の中で塾長はトッキュー一出来るお人です。精神的にも肉体的にもね。今後も塾長は事あるごとに大事な場面では正論を言ってくれるし、現場での態度も一番好きです。確実に練れてるのでそう言う部分は隊長である嶋さんより上だし、副隊長としてこれ以上の人材はないと思います。組まされる隊長は可哀想ですが(笑)
補足すると今回嶋本隊長が兵悟を連れて降り、塾長をヘリに残したのは兵悟が潜水担当ということ以前に副隊長を信頼していたからですよね。たぶん、現場で自分が指示するまで「待機」って命令してたんだから、兵悟がロープ張った瞬間に降下して吊り上げてくれ、とはおずから指示出してたんでしょうし、ヘリに残すなんて重要な役割は兵悟にはまだ無理っす。
兵悟はあと一人残ったお姉ちゃんを吊り上げるわけですが、用意に思いの外時間がかかってしまってまた高波が襲ってきました。
ヤバイ、と思った瞬間ヘリを上昇させた恵子様、ホイスト巻き上げ開始したホイスト担当メカニックさん。
さて、ヘリは降り……ってここどこじゃい。どこに降りたんだよ。おずのデッキじゃないだろうし……親もいるし、でもヘリ着陸用っぽいし……羽田まで戻ったわけでもなさそうだし。
まあいいや、三人の子供達は全員無事で、嶋さんも兵悟も塾長も笑顔でさよならするのでした。
「兵悟ちゃーん、ちょっといいかなー。エバックハーネスの装着に時間かかりすぎー、あとコイル巻きのスピードってあれが目一杯なわけ? 五分縮めて。あと――」
羽田に戻ってきて速攻で塾長に駄目出しをくらう兵悟。
それを見てやってきたメグルは「失敗したとね?」と茶化すけれども恵子様に「一人吊り上げたわよ」と言われてショック(笑)「そがん簡単やったとね」とはメグルですが……相変わらず海難をゲームみたいに思うクセは変わってないっすね。微妙な顔した兵悟に同意です。
さて、兵悟のウエットスーツにはさっそく傷が付いていました。引っ掻き傷みたいなあとです。あの女の子に握りしめられた時だ、と呟いた兵悟に隊長は言いました。
「そのウエットスーツは小さい女の子の力で傷が付くほど柔なスーツやない」
「嶋本さん……」
隊長って呼べよ隊長って。
「そやけど現実に傷がついた。なぜや? ――あの子が生きるために戦ったからや。"生きたい"、それは生あるもの全ての本能やからな。その傷は大事にとっとけ、うぬぼれんよう覚えとくんやで」
そして兵悟の肩を叩き、去っていく隊長。
これ真面目に格好良すぎだろ、良い隊長すぎるだろ。すっかり若者を導く年輩になってる嶋本さんなのでした。カッコイイよねほんと。
もっと笑いかけてあげればよかったな、なんて色んな事に気づかされた兵悟です。
兵悟くんさー、こうやって大事なことは色々嶋本隊長から教わってるのに、なぜいつまでも真田真田なんスか? 不思議だよ全く。
「どーっすか神林は? 面白いヤツでしょ?」
さて隊長と副隊長の会話です。嶋さんの中で兵悟は「面白い」というのは本当の評価なのかな?
「んー、確かに索を口でくわえるヤツは初めて見たな。あの発想はオッサンの俺にはできねーわ。嶋本軍曹の教え方がよかったんだねえ」
誉められてるんだかけなされてるんだか分からない言葉を塾長にもらって、食えない人だ、と改めて思う嶋隊長。
これから兵悟にとってのトッキュー、嶋さんにとっての第三隊の本格始動です。さて、どうなることやら。

さてさて、以前GWの検定中に真田にお辞儀をしていた嶋さんの回想。どんな会話があったのでしょうか?
佐藤専門官に真田の抜けた穴を埋めるべく頑張れよ、といわれた嶋さんは「あ……」そうやった、と気づいた瞬間の即行動で真田に頭を下げたのでした。
「今までお世話になりました! 三隊隊長として恥ずかしくないよう頑張ります!」
「もう同じ隊になることはないだろうが、一年後戻ってきた時に嶋本隊として活躍している三隊を楽しみにしているぞ」
「はい!」
副隊長・嶋本進次の姿もこれで見納めなのでツッコミは入れない方向でいきたいんです……が。
「もう同じ隊になることはないだろうが」って、当たり前だろ。降格しろってか? よし真田、お前ヒラになって嶋本隊に入れ、それなら許すぞ。ただし鬱陶しい進言ナシね。
ということで、私は隊長してる嶋さんが大好きなのでどうしても真田といる嶋さんはちょっとアレなんですが、副隊長というポジションはとても嶋さんに合っていると思います。
もっと副隊長としての姿を見てみたい、というのも本音なので、真田隊ではなかった頃の嶋さんの副隊長姿というのが見たいです。多分色んな人の下についたことあるでしょうし。
「だって保大出だも〜ん」とはのちの超むかつく大口の発言ですが、だって保大出ですからすぐに副隊長になったでしょうし、オッシーとか黒岩さんの隊で苦労する嶋さんの話とか面白そうです。特にオッシー(笑)、オッシーの場合真田も下についてたことあるみたいですから、オッシー隊長、真田副隊長ってのも面白そうです。
あと副隊長塾長で、ヒラだったころの嶋さんとか。ぜったい面白いだろうな(笑)
オッシー・嶋本の組み合わせは実はすごい良さそうな気がする……、ゆるーいオッシーにツッコミ入れつつ堅実な意見を出す副隊長。良さそう。きっと隊の仲も良いだろうし、真面目に見たい。
嶋さんは真田に限らず、隊長になった人には誰にでもああやって接するんだと思います。真田はそれにライバルって感情もあるんでしょうけど。嶋さんの公私のスイッチの切り替えって凄い早いから見てて面白いというか。
さて、嶋本隊長。頑張ります、と言ったものの悩んでおりました。
ある非番の日、コンビニでガラスに向かって「にぱぁ……」となにやら笑顔の練習を繰り返す嶋さん。
「なんで俺、こんなトコ見ちゃったんだろう……」
偶然コンビニに居合わせた兵悟はそんな上官の姿に慄くしかないわけで……。
そして嶋さんが買っていった本をそっと手にとって見ると、そこにはこんなことが書いてありました。
"30代からの好かれる上司"――、いったい嶋本さんになにが? 疑問のまま翌日からは相模湾の烏帽子岩に一泊二日の訓練合宿です。
防災基地で準備してて塾長の積んでたビールをぐちゃぐちゃにしちゃった兵悟は塾長に噛み付かれ……そんなとき、隊長は例の笑顔で現れました。
「まあまあ、いいじゃないっすかー。今回の訓練、三隊の親睦会みたいなもんですからね! 夜はパーッと乾杯しましょっか、パーッと!! ねっ!」
いや、駄目だろ普通に。なに言ってんすか隊長。その不自然な笑みについツッコミし忘れそうになっちゃったけど、我らが高嶺さんは冷静でした。
「訓練中はよくないでしょ」
没シュートです、とビールを塾長から奪う高嶺さんに両手を揃えて隊長はこうビシッと。
「DA・YO・NE!」
そのあまりの隊長の不自然さに今までの「鬼軍曹」がインプットされている兵悟は怯えるしかないのでした。三隊初日から嶋本さんの笑顔って不自然だと思ってたけど……と。
荷物も積み終わっていざ出発。
隊長は助手席で何やら鼻歌を歌い出し……。
「烏帽子岩行くからってチャコの海岸物語はベタやったかなー?」
なんて振られて真面目に「わ、笑いどころがわからない」と悩む兵悟哀れ。ジェネレーションギャップってヤツなのだろうか。
その頃の大口は隊長なんてまるっと無視して「あ、女子高生のパンチラ見えた!」とギラついておりました。大口、腹立つけど好きだ(笑)
「今日もええ天気になるとええなー、高嶺!」
嶋さん、今度は運転してる高嶺さんに話を振ります。が。
「曇り時々雨、波高三メートル、降水確率午前が40%、午後が70%、更に詳しいデータお望みですか?」
「……いや……ええわ……」
見事に撃沈して、後部座席でハラハラしちゃう兵悟です。
しかし隊長はめげません。
「一ノ宮さんは名古屋出身でしたよねー、やっぱり野球は中日ファンっすか?」
「別に。」
興味ない、と塾長は一刀両断し、静まりかえる車内。
「……野球もけっこう……ええもんですよ……」
ヤンキーあがり改め高校球児あがり嶋本進次。さすがに「別に」発言は聞き流せなかったようで……あまりの空気の重さにハラハラする兵悟マジ可哀想です。
しかし塾長は更なる地雷を踏みました。
「あーあ! なんか空気重いなーつまんねー! 誰か面白いこと言ってくれよー! 兵悟ちゃーん!」
「え……っ」
「はい駄目ー! 大口ー、小鉄ー、なんか漫才しろよー」
「えっ、いや、そんなっ、無理っす」
「はいっ、やりましょうよ小鉄さん! ほら、ほら!」
うーん、大口って本当に要領良いよなーと思える場面です。小鉄は不器用だね。大口のネタふりはそれなりに塾長に受けてたんですが、ついに隊長は堪忍袋の緒が切れかけ……。
「……らん……」
「え……?」
「どいつもこいつも……つまらん! お前らみんなつまらん!!! 何や二人とも、返事は逆でもできとらんのは同じやないか! 訓練も一緒や、ボケもツッコミもハンパなヤツが人の命救えるかぁ!? 神林も分かっとらんのに適当に返事すんな、次同じ事したら目ェ潰すぞ! 高嶺も空気読めや! 会話広げろ!!」
うん、一部理不尽な罵倒だけどやっぱり軍曹はこうでないとネ☆
さて、一頻り言いたいこと言い終わった嶋さんは本当に言いたかった事を塾長に言いました。
「副隊長」
「ほい?」
「今回の訓練、潜水担当の神林を叩き上げることが目的です。隊長の私に指導は任せてください」
「……ほーい」
うん、地味にすごい勇気のいる発言だったと思う。嶋さんみたいな内心気遣い魔の性格なら尚更ね。嶋さんは塾長にだけは「私」って言って一番敬意払ってるよね地味に。
まあ兵悟はそんな嶋さんを見て「嶋本さんが軍曹に戻った!」と嬉しそうであり……、なんやお前、Mか? と思わずにはいられないのでした。
しかし「好かれる上司」は結局数時間で終わりを告げたな……、嶋さんが素に戻った瞬間に三隊は一気に嶋本色で染まったもんなー。
あんなに悩んでたのに、嶋さん吹っ切れるの早かったな(笑)
さて、茅ヶ崎海岸に着き、ここからはボートに乗り換えです。
なかなかエンジンがかからなくて「かかるまでやり続けろ! 休んだらメシ抜きや!」とさっそく軍曹に怒られる兵悟。
嶋本進次、絶好調です。
烏帽子岩はトッキューの訓練によく使うそうですが、トッキューに限らずもう大昔から訓練場というか的にされてきた場所でもあります。興味がおありでしたら釣りに行ってみるのも一興かも?
さて隊長は烏帽子岩まであと一キロという所まで来てエンジンを止めさせました。そして。
「ここから泳いでボート運べ。低気圧も近付いてきて絶好の訓練日和や、なっ!?」
嶋本"鬼軍曹"笑顔でそう告げる隊長。
嶋本さんがいつもの笑顔に戻った――、とは兵悟ですが、兵悟の中で嶋さんの笑顔って言ったら鬼軍曹バージョンなのな、と思うとちょっと哀れでもあり(笑)
そして頑張って泳いでちょうど烏帽子岩に着いた頃に雨が降り出してきました。
本降りになる前にテント設営しろ、と隊長。
ものっそい暴風雨になってきて「本当にここで泊まるんですか!?」と涙目の兵悟に「当たり前や!」と隊長は一蹴し。
「TOKYO一週間にも載っとらん超穴場スポットのオーシャンヴューホテルやでー!!」
嶋本節も絶好調です。生き生きしてます。これ絶対真田の副隊長だったら見られない嶋さんの素っていうか、ある種解放されたよな、真田から離れて(笑)
うーん水も滴るいい男だなー。嶋さんて上背はないけど、体格はすごい良いですよね……なんていうかダイバーズウォッチしてるゴツゴツした手がすごく男っぽい。よく頬杖ついてるけど、筋とか筋肉が浮かび上がってて素敵というか……これで上背あったらマジで完璧すぎてどうしようもないです。まあ小さいから良いんだけどね嶋さんは。
そんな嶋さんよりガッチリした高嶺さん、みんなにコーヒー淹れてあげたりラジオで気象情報チェックしたり、三隊のブレーンというかお母さんというか。
しかし遊びに来たわけではないので早速訓練です。
兵悟の潜水能力を鍛えるために磯波訓練開始。
えー磯波訓練。岩場に迫り来る高波を利用して海面から二メートル強はある岩場に一気に登る、って訓練かな。
「まずは俺からやる、よう見とけ」
と隊長。軍曹時代はそう手本なんて見せてくれなかったけど、こういう場面で「よく見ておけ」って言って颯爽と行くってなんかこう「隊長は一番の実力者」って感じがして素敵ですよね。
嶋さんは高波を利用して見事クリア。岩場に登った嶋さんに駆け寄って「大丈夫っすか!?」って言う兵悟が滑稽で面白いです。大丈夫に決まってるだろお前隊長ナメとんのか? って思っちゃいます。まあ、実際兵悟は嶋さんの実力を深くは知らないのでこんな感じでしょう。私が嶋さんだったら結構カチンとくる場面だけど、そんな兵悟をまるっきりスルーしてる辺りに嶋さんの真剣ぶりを見ました。
次は全員順番に行け、と隊長に言われて海に入る隊員達。兵悟も当然行きます。
が――結果は無惨なもので。
私、けっこう波の激しい時に泳ぐの好きだったり船を目指して浜から何キロ離れてんの?な場所まで泳いでみたり流れの激しい川で泳ぐの好きだったり今にして思うと結構危険なことをやらかした覚えがあるんですが……さすがにこんな叩きつけられたら怪我しそうな場所に入っていったことはなく……でも岩場から波をジッと見つめて「こええええ」なんて思ったりしたことはあったので、兵悟たちは想像以上に怖いところで泳いでいるんだと思います。
兵悟以外は何とか岩場にあがるんですが、兵悟はマスクが流されたうえに波に巻かれて溺れかけております。
「嶋本隊長ー、助けますか?」
「ほっときます。ここで助けたら訓練になりません」
塾長に訊かれてそう突き放す嶋さんは、ドラフト前に真田と交わした話を思い返してました。
行軍前に、一度だけ相談をした、と。
今度のドラフトでメグルか大羽を指名しようと思っている、と。スキルが高くて即戦力になるのはこの二人だからと。
しかし真田は反対だったようで。
「嶋の三隊に必要なのは神林だ。――と思う」
あくまで俺の考えで、決めるのは隊長になる嶋だけどな、と言われつつも汗ダラダラだった嶋さん。
「嶋本隊長に"手放せん存在"と言わしめたホープがもうリタイアっすか? つまんねーなー、なんであんなん選んだんすぁ? 他にもっとマシなのいたでしょ? アレより」
塾長にそんな風に言われてぐうの音も出ません。それどころか、ほんとにコイツでよかったんやろうか、と悩んだり後悔してみたり。
まあ、真田イズムなんてパンピーには分かんないっすよ。
でも、ドラフトで二隊の南部隊長と戦って大羽を奪い損ねていたらもれなく三隊がメグルになったかもしれないと思うと……真田グッジョブ! かも?(笑)
いやいやメグルはオッシーが指名するだろうから、どっちみち新米隊長は余りモンの兵悟になった可能性高いけどな(笑)
しかしスキル上でメグルはともかく何で大羽? って思ったんですが……大羽には地味に「潜水呼吸停止五分間」という脅威の記録があったことを思い出しました。あと自己更新力も一番だったし、そう言うところを嶋本隊長は評価したのかも?
私は嶋さんが兵悟を選んだわけではないことを知ってちょっとショックでしたが、前も言いましたけど嶋さんの兵悟の評価は初対面のときから最悪だったので、むしろ当然だと思います。
ただ、嶋さんの三隊に兵悟が必要だという真田イズムは私には分かんないっす。
でもまあ、手のかかる兵悟を部下に持つことで、嶋さん自身も隊長としてより成長できると思うから……そういう意味では兵悟がいて良かったのかも。まあメグルの腐った根性を叩き直したり等々他のメンツでも十分やることいっぱいあったとは思いますが。
真田にプレッシャーをかけられたからと言っても、選んだのは嶋さん自身だし真田に進言の機会与えちゃったのも嶋さんなので、今更後悔してももう遅いっすよね。
でも、実は自分が選んだわけじゃないってことは兵悟に悟られないように「お前は手放せない存在」って言ったのかな? て思うと、嶋さんなりの気遣いだったかもしれませんね。兵悟の場合、真田の推薦があったと知ったらむしろ喜びそうだけど、現隊長に望まれて来た訳じゃないって知ったらやっぱショックだろうし。
さて全然あがれない兵悟は隊長と高嶺さんに助けられてようやく岩場にあがるのでした。
高嶺さんに怪我の具合を見るよう嶋さんが指示し、高嶺さんも兵悟の様子を心配そうに診ます。治療されつつ、みんなの磯波訓練具合を見学する兵悟……自身の力の足りなさを実感します。
どうでもいいですけど、隊長はやっぱり隊長なので皆が訓練してる時に指示を飛ばすことがほとんどで……一体いつ訓練してんの? って思っちゃいますね。訓練休めばそれだけスキルは落ちるし、嶋さんのことだから見えない所で鬼のようにやってるんだろうなーと思うと、ほんとお疲れさまという感じです。
磯波訓練も終了して次の訓練に移行しようとするんですが、兵悟はまだ磯波訓練やらせてくれと懇願。当然却下ですね、危険だから勝手な行動も許さん、と。
「お願いします、嶋本さん!」
「キラキラしても駄目なもんは駄目や!」
出ました、兵悟の十八番キラキラ攻撃(笑) どうでもいいけど隊長って呼べよ……そう言えば坂崎さんのことも「坂崎さん」つーてたしな。私だったらというか、普通の感覚持ち合わせてたら仕事の時は「坂崎班長」って言って、プライベートの時しかさん付けしないんだが……。将来的な話とはいえ星野君はその辺キッチリしてたから好感度大だったけど。
その後も兵悟は訓練中や夕食準備中に色んな人の「磯波訓練のコツ」を訊きまくり、隊長にツッコミを入れられるのでした。諦めないねー兵悟。ここまでしつこいのは他の同期メンツだと考えられないね。
でも兵悟は兵悟なりに、せっかく嶋本さんに選んでもらったのに自分一人みんなのスキルに追いつけないでいる、と責任を感じているようです。まあ急に先輩のスキルに追いつけないのは当然のことだとして、選んでもらったのに、って……か、悲しい……もう嶋さんのばかばかばか!(笑)
そうしてその日の訓練は終わり、夜。兵悟はなかなか寝付けないようです。そんな兵悟を感じ取って「寝付けないのか。必死なのはええんやけどまだどうにも空振りやな……」と一人反省会の嶋さん。嶋さんはメグルとか大羽のスキルを想定していたので、やっぱり兵悟じゃ「ちょっと足りないな」的な評価のようですね。
まあでも兵悟はなんといっても諦めないスピリッツの持ち主ですから!
さてさて翌朝早朝。小鉄は一人用を足しに起きました。岩場で自分の放ったブツを見ながら「これ、みんなが起きてくるまでに流れるかな」と(笑)
そんな小鉄が振り返ると……なんと三つ指ついた兵悟がそこにいました。
「小鉄さん! お願いです、一緒に磯波訓練やってください!!」
一人でやるのは禁止、という隊長命令は守った兵悟さんです。しかしこの発想はなかった!(笑)
後ろのブツを見られたくない小鉄は迫ってくる兵悟に迫力負けして……。
「なに、神林がおらんやとッ!?」
早朝、高嶺さんに起こされた嶋さんです。しかし高嶺さんは「小鉄もいませんね、あ、コーヒー飲みます?」と落ち着き払った様子。
姿は見えずとも、二人の声は岩場の方から響いてきていて何しているか一目瞭然。
小鉄は結局兵悟に付き合い、岩場で兵悟に指導をしていました。
「あの小鉄さんが心のドアを……!」
と、小鉄が永久凍土なハートをオープン・ザ・ドアしたことにビックリしてましたが、嶋さんは驚きつつ「神林らしい無茶のしかたやな」と。そうしてようやく岩場に登れた兵悟を蹴り落として「はよ上がれ!」と命じる鬼軍曹は健在なのでした(笑)
「小鉄さんも大変でしたねー。朝っぱらからこんなことに付き合わされて。ほっときゃよかったのに」という大口に「別に、さっさと終わらせたいし」と小鉄さん。
小鉄は地味に良いヤツなんだよね……地味に嫌なヤツの大口と違ってさ。
兵悟はもう一度自力で岩場に上がって嶋さんに声をかけます。
「待っててくれてありがとうございます! おかげで出来ました!!」
笑顔の兵悟を見て、思わず笑みを浮かべてしまう嶋さん。こういう素直なところは兵悟の強みですよね。嶋さんと兵悟はなんだかんだで相性良いし、嶋さんも兵悟のこんな所は可愛いだろうし、多分個人としては兵悟のこと気に入ってると思うんですが……。
まあ兵悟のことを「やり方はちがえど周りを巻き込むのはあの人そっくりやな」という嶋さんですが、あの人って真田っすよね? 私、兵悟は好きだが真田はどうもダメだからそのご意見はちょっと……(笑)
兵悟の巻き込み方って清々しいけど、真田って鬱陶しいじゃん。そしてそんな真田を踏襲できないから早速嶋本隊は嶋本スタイルになってるわけで……なんというか、嶋さんの真田に対する評価って微妙すぎて面白いです。お前真田個人は尊敬してても隊長としては尊敬してなかっただろ? みたいな。

そんな真田っちですが、いよいよインドネシアへ出発です。
居酒屋で送別会が行われていたんですが、来ているメンツは黒岩さんと佐藤専門官たちだけで少人数。
三隊も今日訓練じゃなかったら誘えたのになー、なんて佐藤専門官は言ってましたが、誰か連絡ついでに伝えたらしく噂をすれば影です。
三隊+メグルが飛び込むようにして居酒屋に駆け込んできました。
次いでトッキューOBと潜水OBもやってきました。
そしてそしてキャバ嬢っぽいのやら看護師さん達も。看護師さんたちは高嶺さんを発見して責める責める。
「ちょっと高嶺さん! あんだけ真田さんとの合コンセッティングを研修の時からお願いしてたでしょ!?」
「すいません」
「ほんと救命士のくせに使えないわね!!」
高嶺さん、可哀想(笑)
そしてそして居酒屋には更に真田が助けたという子供がプレゼント持って親子連れで来たり、女子高生がやってきたりして「なんだ芸能人でもいるのか?」と道行く人に言われるほどに。沸き起こるSANADAコール。アイドル扱いです。
……またまた真田SUGEEEタイムです。サラッと流せればいいんだけど、ごめん、また真田SUGEEEっすかウッゼーなぁと思っちゃいました。
女子は帰ってくださーい、トッキュー隊のみのこってくださーい、と人員整理する兵悟達。せめて海保関係者って言えよ……潜水OBなんてトッキュー関係ないし、トッキュー隊じゃないのもこの後来るじゃん、と思うとイラっとくる台詞だったなこれは。
真田はインドネシア語もマスターしているようで、どこまでも真田さんSUGEEEっすな展開です。
嶋さんはというと、自ら率先して居酒屋店員になってビールついだりして働いてます。……いやいいけどさぁ、あなた隊長でしょ? いくらOBが来てるからって高嶺さんだって店員やってないんだから、お前座っておけよ。どうしても必要なら高嶺さんにやらせればいいんだから。って思ったけど高嶺さんも働いてたZE(笑) なら仕方ないな! 大口と小鉄はどうやら逃げたっぽいしな(笑) あー、せめて他の隊のヒラがきていれば……!!
「OBの方にも愛されてますね〜」という兵悟に「なんだかんだでこんなぎょーさん人が集まって嬉しいやろうな、隊長」と嶋さん。
「レスキューの時もそうじゃない時も、隊長は誠実に人と向き合ってきたからな。インドネシアに行ってもトッキューの時と変わらずやってくれるはずや」
らしいですが。……えええ、そうかなぁ。嶋さんが保大時代に真田にされたことは、あれは誠実なの、か……? 私にはとてもそうは思えないが、まあ嶋さんがそう言うならそれで納得するけど……。まあある種誠実に向き合ってくれてはいたけど。うーん。ごめん、やっぱり真田イズムは私には理解できないっす。
そして貸し切りの店内に一人の女性がやってきました。
「真田君の送別会ってここでいいのよね? 神林君」
あれ、このキレーな人誰だっけ……と兵悟が考えているとギョッとしたらしき嶋さんが一言。
「五十嵐機長! どうぞこちらのお席へ、まずはビールですよね?」
「頼むわ、嶋」
彼女は女子でなおかつトッキュー隊じゃないですが、OKなんでしょうか? あ、恵子様だから特別ですかそうですか。真田SUGEEEと恵子様SUGEEEが一緒になるとウザさハンパねぇっす。
さらに恵子様の経歴を思うと、嶋さんに対してこれだけ偉そうなのがどうしても納得できないのでなんか微妙です。恵子様が普通に航海士あがりとかだったら良いんだけど。
まあ、そんなこんなでオシャレして現れた恵子様に一同ビックリなわけです。なんでもお見合いさせられそうになっていて断るのに時間がかかった、とのこと。
カウンターで恵子様がビール一気のみしてると、隣に真田がやってきました。
「イガさん、来てたんだ」
「真田君……来ちゃいけなかった?」
なんだか大人な雰囲気の二人にドキドキな兵悟とメグルなのでした。そして兵悟は持ち前のKYぶりを存分に発揮します。
「あの、二人ってどういった関係なんですか!?」
固まる一同。さすがのメグルさんも慌ててます。
「兵悟君……そがん直球……」
「神林! それはな――」
より深刻な事実を知る嶋さんは止めようとします。が。
「保大同期」と声を揃えた二人は割と冷静でした(笑)
「あ、だからそっくりなんですねー!」なんて納得した兵悟はほんとなんというか、可愛らしいな(笑)
まあ二人の関係については周りも知りたくてうずうずしてたわけで、OBの皆さん達は「真田ほどの男前が同期にいたらまんざらじゃないだろう」「いっそ余りものどうしくっつけばいいのに」なんて盛り上がってます。
より深刻な事実を知る嶋さんはハラハラして(略) まー、もう嶋さんにこそ「いい加減あのこと忘れたら?」と言ってあげたい。そもそも部外者なのに、難儀な性格だ。
「五十嵐機長はどう見てるわけ? 真田のことを女としてさ」
「真田君は……同じリスクを背負ってレスキューできる仲間として尊敬しています」
あなた方に対してそれ以外のことを考える気は一ミリたりともない、と恵子様。
場が収まったところで嶋さんは「ぼーっとしとらんとさっさと運べ!」と兵悟とメグルを散らせます。
「いやー、しっかし俺がトッキュー来る前の五管で新米潜水士やったころは機長も五管におってメチャクチャお世話になりましたよねー!」
とは嶋さん談ですが……これにはあとで突っ込むとして。
真田は一人、保大時代のことを回想しておりました。
在りし日、恵子様と交わした会話です。
「え、ヘリパイ……?」
「女が一番レスキューの最前線で関われるのは回転翼のパイロットだと思うの」
「それって海保初の女性パイロットってことだぞ?」
「もう試験は申し込んだから」
「じゃあ、俺は潜水士になってトッキュー目指すから、いつか一緒にレスキューできるな」
「そうね。じゃあ、私がヘリで真田隊員を吊り上げます」
「――ああ、約束だ」
なんだこの青春グラフィティは……!!
保大時代の恵子様すげー芋っぽくて可愛い。芋カワイイよ恵子ちゃん!
まー、保大で回転翼とか言ってる所に時代を感じるというか……、今は保大行ったってヘリパイにはなれないというか学内選抜は固定翼オンリー。そもそも保大はパイロットを育てる場所じゃないし、保大行ってパイロットになろうなんて最初からパイロット目指してれば止めた方が良い道です。
と言うことで、恵子ちゃんはヘリパイを目指すことにしたらしいですが、パイロットになるには当然航空課程を経てパイロット免許を取らなきゃなりません。これが固定翼になると二年以上の研修を要します。回転翼だって一年半くらいはかかると思います。
そこで保大なんですが、四年生まで終了して専修科に進み、半年ほどの航海を経て現場に出ることになります。だいたい三月に卒業して次の一月に現場出る感じです。恵子ちゃんの場合、ここから更に一年以上パイロット研修です。早くても新米パイロットとして現場出るのは来年の秋以降です。
それは別に良いんですが、そこで嶋さんなわけですよ。
彼は恵子ちゃん達より一歳しか歳違わないけど、一浪してるから現場出るのは二年遅れてますよね。ヤング嶋本進次が航海士長として千葉県デビューするのは真田達が出ていった翌々年の暮れ。
恵子ちゃんはようやっとパイロット免許取れたかな? ってくらいです。ひょっとしたらもう現場出てたかもしれないけど、機長資格とかピューマの機種限定等々はまだ持ってるはずがないです。経験が足りないから。新米はコパイとしてひたすら経験値あげていく日々です。
まあ恵子ちゃんは五管勤務で、嶋本航海士長は三管勤務だったわけで、その違いはあるけれど……ほとんど差はないわけですよ。で、嶋さん曰く「新米潜水士として五管勤務」って言ってるから、ヤン嶋は翌年度の五月に潜水研修を経て潜水士になって神戸に異動になったんだと思います。そしてトッキューの新人召集は八月頭だから……嶋さんって実質二ヶ月くらいしか関西にいなかったというわけで……。(もう一年いてもいいけど、そうするとトッキュー歴が一年減ってダメな感じ)
関西弁移りすぎなんちゃうん? そもそも恵子ちゃんは何だよ、関空基地にいたんだろ? パイロットデビューしたばっかの、しかも余所の所属の女に正座させられてどつかれるってヤン嶋一体なにやらかしたのさ? つか、ほぼ同期ちゃうの? それはあまりに偉そうなんちゃうん恵子ちゃん?
と、こう、釈然としない思いが積もり積もって……。だって八年くらい前だよ、恵子ちゃんまだ25歳とかでしょ? ヤン嶋にどついて良いとして、それは恵子ちゃんじゃなくもっと先輩の務めでしょ。
そもそも嶋さんが真田達の一歳年下なのに一浪なんて不名誉な事態になったのは、意地でも恵子様を先輩にする必要があったわけで……苦肉の策だと思います。二浪にしてギリギリ入学で良かった、とかそもそも二歳年下でよかったんじゃ? って思うけど、やっぱり就いてる役職上少しでも年輩ってのは外せなかったんでしょうね。
嶋さんと恵子ちゃんのデビュー時期があと一年ずれていればこうモヤモヤっとしないものを……!!
これがなー、固定翼のパイロットなら偉そうでもまあ、エリートだし、って思うんだけど……。せめて海自のシーホークのパイロットとかさ。別に差別してるわけじゃないけど、固定翼だと立場上周りを指揮下に収める必要があったりしてやっぱり士官以上なんですよ。回転翼って下士官位の人でもパイロットやれたりするんです。普通はパイロット言うからにはやっぱり士官だし、恵子ちゃんは保大卒だから士官だし、昇進も早い職種だけども。
ヤン嶋はさー、確かにやんちゃな坊やだったけど、例の伊藤さん事件以降に嶋さんが恵子ちゃんに対してそんなKYな行動するとは思えないし……そもそも管轄違うし……そもそもそう長い間神戸にいたとも思えないし……わっかんねええええ!
分からないからこそ、釈然としないモヤモヤのみが残ってしまってます。
そしてこの過程から年齢を考察すると、嶋さんがトッキュー始まった段階で32歳で真田達が33歳な、「あ、より現実的になった」な感じがして自分的にはOKだと思ってます(笑)
恵子様のあのガーリーな格好も33歳なら……いける、と、思うよ……。
まあ、恵子ちゃんはもともとあんな可愛らしい人だったからね! 心はいつまでも少女だよネ!!!
でももうちょっと嶋さんに優しくしてあげてというか、立ててあげてもいいんじゃないかな? って思ってますよ私は。男を立てるべき、って思ってるわけじゃないけど、立場ある人は立てるべき、だと思いますし、すでに立場も同等以上なら尚更。
そもそも連携を取るべきヘリのクルーに隊長格が頭あがらないとか業務に普通に支障きたすだろ……仕事中は「隊長」「機長」として互いの立場を誇示して固持することは義務だよ、義務。
しかし惜しいねーヤン嶋は、浪人さえしてなきゃ恵子ちゃんは後輩だったぞ(笑)
さて、回想を終了した真田は恵子様のそばを離れて居酒屋の外へと行きます。この時点では判明してませんが、回想したことで伊藤さんのこと思い出しちゃったんでしょう。
追いかけてきた兵悟に「どうすればレスキューの壁を壊せると思う?」なんて哲学理論ふっかけてます。
「常に前へ向かう! です!」
と笑顔で答えた兵悟に「その気持ち決して失うな」と真田。
そんな二人を影からメグルは恨めしそうに眺め、「石井、これ真田君に渡して。私からって言わなくていいから」と餞別をメグルに持たせる恵子様。――恵子様って兵悟お気に入りだよね、くん付けしちゃってさ。ちょっと伊藤さんに似てるもんね、多分真田もそう思って兵悟好きなんだと思うけど。
言われたとおり真田に餞別「長崎ちゃんぽん」をメグルが渡すと真田は感激して「ありがとう石井! さすが九州人だな!」と。でもメグルの欲しかった言葉はそんなものじゃなくて……ちょっとメグルが可哀想だったかな(笑)
このマルタイの長崎ちゃんぽんって東京にも売ってるんだろうか……九州ではどこでも手に入るものだけど。ていうか恵子様、いつ真田がちゃんぽんにハマってるって知ったんだろう……。ユリちゃんほどじゃないにしても、恵子様の真田へのストーカーっぷりもなかなかだと思います……。ぶっちゃけ私には保大時代は相思相愛に見えたし。
さてさて、そろそろシメということで上半身裸になってバンザイを始める面々。
うぜええええ、潜水士どもマジうぜえええ!!
リアルでさあ、潜水士ってほんと、やめたほうがいいと思うよこのノリ……。
一人溜め息つく恵子様に同情ですよ。ほんとこうなんだよね男ばっかの所でしかも体育会系ってさ……。
まあいいです。
さようなら真田、日本のことは全然心配しなくていいからね。アディオス☆ 出来るならずっと帰ってこなくて良(略)

さて、そんなこんなで暮れです。
大晦日、出勤の兵悟は小鉄の車に乗って、大口と共に羽田向かいます。
タカミツは休みが取れたそうで帰省中。メグルは東京にいる友達と「ゆくとしくるとしシベ超祭り」でオールらしいです。オタくさいメグルらしいというか、友達いたんだなお前!
さて羽田に着くなり二隊は海難対応に追われてました。
久々に大羽です、頑張っているようです。
初乗り、初釣り、初稽古。これから年末年始特有の海難に追われることになる、と嶋本隊長。
出動した二隊は空振りで戻ってきたり、三隊も出動準備って言われた途端に取り消されたり等々、休まる暇がないようです。
そんな中、今年最後のヤクルトジャンケンで負けたのは――なんと大口でした。
「来年の運勢悪いんじゃねぇのー?」
なんて言われつつ、これ以降大口の機嫌はずっと悪いです。
晩ご飯食べてると、釣り納めに出たまま戻らないという船があると連絡を受けて三隊に出動指示が下りました。
機嫌の悪い大口さん、つい愚痴ってしまいます。
「どうせ釣りに夢中になって時間忘れてるんじゃないっすか? 俺のカンじゃ絶対今回も空振りっすよ。大体、初期の捜索なんかに借り出されすぎなんじゃないっすか、今日は細かい事故やパトロールやらでみんな出払ってるんでしょうけど、特殊救難隊が対応するには雑用が多すぎですよね」
そんなことを言いながら準備する大口を、黙って見過ごす隊長ではありませんよね。
「大口、俺たちは例え誰かが海に落とした手鏡ひとつでも要請がある限り全力で探さなきゃいけない。個人の判断で意義を放棄するな、ええな」
素晴らしい正論です隊長。そしてこう言われて素直に「はい」って言えるところが大口の要領のいい所なんだよね……。絶対こう言われて反省はしてないくせに、返事だけはいいというか(笑)
さて、現場は熱海のマリーナです。
「嶋、指示を」
と、大晦日にアンラッキーにも勤務だった五十嵐チームの恵子様です。
だから、だからさぁ……"隊長"って呼べよ!!
あーついフォントまで弄ってしまった。恵子ちゃんさあ、別にプライベートで嶋さんをいくらパシリ扱いしても全然構わないんだけど今は勤務中でしょ? 今乗せてんのトッキューの第三隊長さんでしょ? 自分の部下ではないでしょ? 指示を請う立場でしょ? だったら敬語はまあ100歩譲って構わないから「嶋本隊長、指示を」だろそこは……。
恵子ちゃんはこういうところがほんと未熟だね……。塾長を見習いなよ……塾長は人前では「シマ」なんて呼ばないぜ?
まあいいや。良くないけど。
月明かりさえない夜の海で捜索は難航を極めてますが、兵悟脅威の視力で海面に浮かぶ何かを発見しました。
赤外線と暗視モニターでやっと分かる程度のモノを発見するなんて、命がかかったときの集中力は尋常じゃないな、と大口。降下してみると浮かんでみたのはクーラーボックスで……事態を重く見た嶋さんは本部に救助要請を出しました。
そうして夜通しの捜索が開始されたんです……が。
「該船な……発見された…………」
なんとも歯切れの悪い隊長です。
なんと、船の乗員は海が時化てきたのを見て別のマリーナに非難し、今は食堂で酔いつぶれていたらしく……。
「ざっけんなー! なにやってんだオッサンども!」
「ハァ!? こっちは寝ないで探してやってたんすよー!?」
怒り狂う塾長と大口を宥めつつ「見つかってよかったよな」と言う大人な隊長です。
しかしさすがにグッタリしていて、大口の「あーだから俺言ったんすよ絶対空振りだって。人騒がせですよねー、救助要請出したトッキューのメンツ丸つぶれっすよ」という愚痴に突っ込むことすらできない。……まあ実際空振りだったし、救助要請出して事を大きくしたのは嶋さんだし……なにも言えません、って感じなのが哀れ。口元の皺がすごい年齢感じさせる嶋本隊長なのでした。
でも、でも――そんな中、一人兵悟だけ空気が違いました。
東の空が明るくなってきて、そこから顔を出した太陽を見て「初日の出、すっげえ!」と。
「キレーっすねえ……おっちゃんたちも下でこれ見れて良かったっすね」
そんな兵悟の満面の笑みを見て、「そやな」と隊長も笑うのでした。生きてたんやからな、と。
真田イズムは置いておいて、嶋さんの気持ちを軽くしてあげられる……そういう意味で兵悟って必要な存在なのかなーと思います。まあ、重くしてる時も多いけどネ。
結局正月明けまで三隊は家には帰れず、さすがに隊長もゲッソリしつつやっと勤務あけとなって「短い正月休み楽しんでください」と言って帰っていきました。
これから五日間の休みです。
嶋さんは実家が千葉だから、帰りやすいでしょうね。大口は鹿児島戻る予定はないとのこと。塾長は嫁さんと名古屋帰ろうかなーなんて言ってます。高嶺さんは去年終わらなかった資料作成をするそうです。
兵悟は……やっぱり佐世保帰っちゃいました(笑)
スカイネットアジア航空に乗ってたのが面白かったです。私乗ったことない。ただ、あれなんですよね……ANAとかJALとかって空港のど真ん中に乗り入れてくれて凄い楽なんだけど、マイナー会社に乗っちゃうと飛行場の端まで行かなきゃならなかったりするんですよね。
そう言えば一度成田から福岡に戻ったことがありますが……あれはもう何というか……JALだったかな? にも関わらず、シャトルバスで端の方まで行かされたあげくにタラップを登らされて搭乗という、なんとも切ない思いをしたことがあります。しかもバスで成田行ったんですけど当然国内の移動なのでパスポートなんて持ってなくて、しかもチケットも持ってなかったからチェックされた時に凄い不審人物扱いされそうになったりとか……。国内移動するのに興味本位で成田まで行くもんじゃないと学習した思い出です。
兵悟の帰省話は完全な閑話休題です。
しらはの面々は兵悟がトッキュー行ったのをキッカケにトレーニングに力入れるようになってより逞しくなってました。
ユリちゃんが横浜の官舎にお泊まりしたことは既に佐世保に広まっていて(真田→坂崎ラインで)、なんかもうお約束な展開でした。
しらはクルーになんか「潜水士番組を見て憧れて」という追っかけがついていて……何だこれは一種の風刺か? と微妙な気持ちになったまま以下次巻です。


□十巻私的ベスト台詞。
「その傷は大事にとっとけ、うぬぼれんように覚えとくんやで」
嶋本隊長の教えから。
なんせフィーチャーされてる隊長が真田と嶋さんくらいしかいないから、もうそりゃ嶋さんが凄い良い隊長に見えるのも当然ですよ。
そしてこれも同率ベスト。
「俺たちは例え誰かが海に落とした手鏡ひとつでも要請がある限り全力で探さなきゃいけない。個人の判断で意義を放棄するな、ええな」
うん、ほんと、良い隊長ですよね。
こういう風に叱れる人だから、メグルは案外嶋さんの下だと変われたかもしれない……って思ったけど、大口のようにスルーできずに反発して揉めちゃうかもな(^^;

 


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