+ トッキュー!!感想 +



第四〜第五巻
□第四巻。
櫻井さんにバディを解消したいと言われて、二人の関係はギクシャクしたまま「海フェスタ」に行くことに。
仕事は待ってはくれませんからね。
今回の仕事は兵悟・櫻井のバディで海保のイメージキャラクターであるうみまる・うーみんの着ぐるみに入って海フェスタに来てくれた人に海保を知ってもらうこと。
いやー、たぶんこれ初夏の出来事なので……着ぐるみはとても厳しいと思います。でも子供はすごい喜ぶんですよね、着ぐるみ。でも、着ぐるみってただ被ればいいわけではないので……色々突っ込んでしまいたくなりますがサラッとスルーして。
兵悟が櫻井さんのことで悩む中、坂崎さんは櫻井さんを誉めます。
トッキューに行くほどの才能はないけども、常にバディを活かすことを考えている櫻井を潜水士として高く評価している、と。
そんな櫻井に見捨てられるヤツがいたらお終いだ、と言われて焦りまくる兵悟。
兵悟は自分がトッキューに行きたいという気持ちばかりが先走って櫻井さんのことを考えていなかった、と反省しつつ海フェスタでトラブルが起こってうーみん姿のまま出動。
なんやかんやあって無茶ばかりする兵悟を前に櫻井さんはフォローする羽目に。
兵悟はもうぐうの音も出ないで「俺頑張って変わりますから」と見捨てないでくれと懇願。
私も櫻井さんは兵悟に呆れてバディ解消したいのか?と思っていたので次の櫻井さんの言葉に感動。
「お前とバディくめるのは俺くらいしかいない」と。櫻井さんはどんどん上達していく兵悟を見て、足手まといになるんじゃないかと思ってバディ解消を申し込んだみたいです。
なんか、もう、いい人過ぎて泣きそうでした。
ちなみにうみまるとうーみんですが、うみまるの階級は二等海上保安正、うーみんが三等海上保安正。
ア、アザラシのくせに階級たっけえええ!!!
トッキューで言えば隊長副隊長格です。偉いです。アザラシにくせに(笑)
しかし、兵悟はコミックスによると三等海上保安士らしいですが……ちょっと疑問です。
高校を出て(18)、一年保校に行って(19)、そのまま任官だからこの時点では三等海上保安士なんですが、兵悟は「潜水士になって四ヶ月」と一巻で言っています。そして潜水士になるには二ヶ月ほど研修を受けなくてはなりません。
そして作中では今は初夏。
なのでつじつまを合わせるには兵悟は四月で任官→数ヶ月後に後期の潜水研修に参加→晴れて潜水士→この時点で12月くらい。そして四ヶ月後→第一巻→で、今は六月くらい。
が打倒だと思います。すると兵悟は任官から一年経っているので、三等ではなく二等海上保安士のはずです。
とは言え兵悟は競技会は今年始めてという矛盾があるし……。だとしたら任官当初は指定船に乗ってなくて競技会終わったあたりでしらはに移動か? とか色んな疑問が出てきますが……。
実際どうなんだろ? でも、自分で二十歳っつってるし、私は三等はミスで二等だと思いますけどね。

さて、櫻井さんとの問題も解決したところでいよいよ競技会です。
しらはは会場となる博多港へ出港。
移動中に兵悟は福岡「らいこう」の新人――消防から海保に移動してきた異色の経歴を持つ人物の話を聞きます。
三年ほど前、新人でありながら福岡の住宅火災から八人担ぎ出したことで有名らしく、しかもその彼はトッキューを目指して海保入りしたということで……兵悟の闘争心に一気に火がついちゃいました。
一方その新人――メグルはちょうど福岡で海難があってらいこうで出港し、「元消防士だからって火事場を知ったかするな!」と注意されつつレスキューやってました。
兵悟は兵悟で寝る間も惜しんで特訓特訓。
いやー、ついにライバル登場というのはワクワクするものです。
福岡ドームも見えてきて(まだヤフーじゃなかった)、私にとっては地元なので懐かしさもひとしお。
兵悟たちしらはの一同はさっそく福岡の中華飯店へ腹ごしらえに行き、明日の競技会にむけて緊張する一同を坂崎さんはビール片手に激励。
「らいこうがなんだ、あんな中州の素人童貞。ぶどう? 薩摩の黒豚だろううが」
相手チームのことを言いたい放題の坂崎さんですが、これまたお約束でらいこうのメンツもぶどうのメンツもこの店に来ちゃってたんですね。
「中州の素人童貞です」
「薩摩の黒豚たい」
坂崎さんの台詞を拾って自己紹介するらいこうとぶどうのメンツには腹抱えて爆笑しました。
こう、イントネーションまで分かっちゃうんですよね。「中州(↑)の素人(→)童貞(↑)です」みたいな。
多分全国的に通じるネタではないと思いますけど、私は地元なのですごい面白かったです。ちなみにこの中華飯店、絶対リアルであると思います。なんか見覚えがある(笑)
まあ、出会っちゃったら勝負するしかないじゃない! ってことで大食い大会を始める一同。
ここで初めて兵悟はメグルと出会うことになります。
「石井盤。羅針盤の盤と書いてメグル」とメグルのお決まり台詞も初登場です。
ていうかメグルはあれだ……新人なら保校同期っぽいのに兵悟が知らないってことは先輩か後輩ってことで。半年ダブってるかとも考えたんですが、完全に知らないようなので丸々一年違ってるのは確実です。
上記で兵悟は今年保安官二年目説を出しましたが、これならメグルが一年後輩ってことでつじつま合うかと思います。
メグル高校卒業と同時に地方公務員→消防研修を経て消防士に→半年後くらいに福岡火災→二年目の夏くらいに真田に出会ってキッカケに海保目指す→保校受かって四月から保校へ→この時点で二十歳→卒業と同時に任官・前期の潜水研修に参加→今に至る。
かなりキツキツなスケジュールですが、これだと兵悟の一歳上かつ新人てのもOKだと思います。
ていうかこれだとメグルは紛れもなく三等海上保安士ってことで……。
ぎゃはははは、あんな偉そうなのにメグルが一番階級下!!
とちょっと思ってしまいました。まあ、でも三等で特救隊へとかってないですけどね……ていうか二十歳そこそこでってことがまずないですけどね。まあ漫画なので良しとします。

さて競技会当日。
特訓の成果が現れて兵悟はドルフィン一着! なんですが直ぐさまメグルに抜かれてしまいます。
この時点ではまだまだメグルは猫を被っていたのか兵悟なんてどうでもよかったのか「オイもまだまだたい」と好青年ぶりを発揮。
しかし、直後にそれを一転させる出来事が起こってしまいます。
メグルは兵悟に自分が海保に入ったキッカケを語ってきかせました。消防と海保が合同でレスキューしていた場面でメグルは命令を無視して救助に行き……ヤバそうな時に上空から真田が現れたのだと。その真田を追いかけるために自分は海保に来たのだと。
まあ、要するにいつもの真田SUGEEEタイムですがまだ四巻なので素直に私も「あ、真田凄いんだな」って思ってました。
そしてメグルが兵悟にそんな話をしている時……ヘリからなんと真田が。
元々競技会に審査員で来るつもりだったんですが、急な海難で出動していたのでそのままヘリで博多に来たそうです。
高嶺さんと嶋さんも一緒に来てましたけど、今回は真田を一人残して帰投。
真田は兵悟とメグルのほうを見て一言。
「また会ったな」
と。ああー、この後の展開が読めているだけにこの時ばかりはメグルに同情しましたよ。
「真田さん、覚えとって――」
真田が自分を覚えてくれているのだと勘違いしたメグルはすっごい嬉しそうな顔をするんですが、そんなメグルを通り抜けて真田は兵悟の元へ。
まあメグルは当然ショックですが、ここでヘコたれるメグルではありません。
「オイのこと覚えとりますか? 今年トッキューに行くのはオイです、やけん絶対覚えとってください」
と。まあメグルらしいですねこの自己主張の激しさは。
そしてこの瞬間にメグルは兵悟にターゲット・ロックオン。羨ましかー!って気持ちが根底に目覚めたんだと思います。
このあとはメグル節のせいで競技会がメタメタでしたが、真田は天然なのでメグルが自分の所為で張り切っているなど露程にも気づかず……。フォローする坂崎さんが可哀想でした。
ていうか具体的に言うと、メグルが再トライを申請してもう一度ドルフィン勝負になったんですが、その途中で一人ブラックアウトして沈んじゃったんですね。
兵悟は勝負を中断して溺れた人を助けるも、メグルは自身のタイムを伸ばすことにしか興味がないのでスルー。
結果自己ベストを出したメグルは大喜び。しかしそんなメグルに兵悟は反発。
ていうか会場ドン引きですよ……皆救助してる時に一人颯爽と泳いで自己ベスト更新だと喜んでるんですからね。KYにも程があります。
兵悟が問いつめるとメグルは笑いながら「ここにはレスキューのプロが揃っとーし兵悟くんが助けに行くの分かっとったから」ですと。おまけに「こんなつまらんレスキューさせてごめんねえ」とな。
もちろん兵悟はそれを許せず「アンタにトッキューに行って欲しくない!」と決別宣言。
私は、基本的に兵悟のこと好きですし……初っぱなからメグルは好きになれませんでしたね。
この後もメグルは能力だけは高いので一位ばっかり取って、その後起きた海難でも救助者よりタイムを取って一人悦ってましたが……。
まあやっぱり能力だけはあるので一位のメグルにトッキュー行きが決まったわけですが、どうしてもメグルに好意は抱けませんでした。
この時点で私は真田は嫌いではなかったので、メグルが一番嫌いでしたね。
でも、天性で人を惹きつける能力を持っているのは兵悟で……メグルはただ能力があるだけあまり人には好かれないキャラです。そう思うと可哀想な気がするけど、あれだけ素の性格が悪けりゃ自業自得じゃ!と思ってしまうのでやはり同情の余地なし。
そんなわけで五巻へと続きます。


四巻私的ベスト台詞。
「あんたみたいなヤツにトッキューに行ってもらいたくない」
兵悟→メグルへの台詞。
いや、ごもっとも。


□第五巻。
五巻はついにロード・オブ・ザ・トッキューの巻でもあります。
ストーリー構成と描写力を思えば、この五巻はトッキュー中最高の巻だったと思いますね。
その分ちょっと語れないというか……。
ユリちゃんと海に出かけた兵悟は、そこで知り合った絵里子ちゃんという少女と共に漂流してしまいます。
丸二日漂流して兵悟が弱っていくさまがもうリアルすぎて……、特にふやけた足の裏を魚に突かれる場面とか生々しすぎて鳥肌が立ちました。
怖い、ってリアルに思いましたしもの凄い漫画だなと思いました。
羽田のトッキュー基地では今回も三隊が当直で……真田も、嶋さんも、高嶺さんも仮眠さえ取れない状況。
漂流みたいな海難はトッキューが出動する場面じゃないので、絶対に呼び出しはかからないって分かってるんですけど、皆眠れない。
「なんでまた俺たち三隊が当直の時に限ってあのアホがッ! 今度は潜水士が漂流ですよ!? 仮にもトッキュー目指してるヤツがシャレになりませんよ!」
熱い男・嶋本進次。素直に心配だって言えないお年頃(笑)
この時点で嶋さんの設定はちゃんと固まったのか、大分今の嶋さんです。ていうかみんな良い身体してるよなーさすがトッキューさんだ。とどうでもいいことが気になりました。
その後もダイバーズウォッチ訓練途中にチラ見して心配してるっぽい嶋さんがほんとに好きです。
今回ばかりはメグルも兵悟心配してました。つーか基本ツンデレだからなヤツは。兵悟大好きなんだよね……性格悪いだけで。
とにかくこれは読んで下さいとしか言いようがないですね。
無事救出された兵悟には既に辞令が下っていて、八月一日付けでトッキューへの移動が決まりました。
そしていざ羽田へ。
どうでもいいですが、羽田からモノレールに乗って浜松町で乗り換えて……とか言ってる兵悟がおかしいです。横浜行きたいなら京急使うべきです。この漫画、後々も上り線と下り線「それはねーよ」ということがあるんですが、わざとなのか天然なのかが疑問です。
まあ、そんなわけで浜松町行きに乗っちゃったから整備場駅も通るわけで……一度基地を見てみようと赴く兵悟。
そこで見たものは「ヤクルトジャンケン」に精を出すトッキュー隊員の姿だった……。
ヤクルトジャンケンとはヤクルトレディとジャンケンして最後に負けた者が全員に何かを奢るシステムらしいです。毎日やってるらしいです。特救隊もマジでやってるらしいです。
お前ら、給料で何やって(略)
まあ、取りあえず兵悟は天空橋で京急に乗り換えるという術を身に着けて欲しいですね。そうすれば横浜なんてそんなに遠くないんだから……。

さて、いよいよ入隊式。
兵悟とメグルに加え、タカミツ、大羽、星野という兵悟にとってはかけがえのない同期が集いました。
そしてさっそく「その胸クソ悪い笑みを消せ!」と某ハートマン軍曹のような風体で現れたのは新人隊を統括する黒岩隊長。
しかしその黒岩隊長に「詳しいことは直接指導する教官に聞け。おーい軍曹!」と呼ばれて「これ以上軍曹な人がいるのか!?」と一同はビビりまくり。
そうして姿を現したには――。
「これからお前らの教官を務める嶋本や、よろしうな!!」
そう、なにを隠そう我らが嶋さん!!
しかし嶋さんを知っている兵悟以外は「え、コレが?」というような反応。
まあ、そうっすよねー。小さいですもんねー。しかも若く見えますしねー。
外見でナメられるタイプっすよねー。とても元千葉のヤンキーとは(略)
嶋さんはさっそく全員をバンに乗せ横浜の防災基地に移動。
「お前らにはこれから踊ってもらう」
と。全員がポカンとする中、唯一横浜出身の星野くんだけがこれから起こることを感づいていて……。
兵悟なんかは教官たる嶋さんじゃなくて、「三隊の嶋本さん」てのがインプットされてるから無邪気に「ここでなにするんすか!?」なんて聞いちゃったりして。
超笑顔の嶋さんは笑顔のまま全員をプールに蹴り入れて一言。
「何度も言わせんな殺すぞ! さっき言うたこともう忘れとんのかバカヒヨコども!」
さて、嶋本鬼軍曹による楽しい楽しいシゴキ……もとい研修期間が始まりました。
以下六巻へと続く。

どうでもいいですがみんなをプールへ蹴り入れる前の嶋さんの笑顔に三十路を見ましたね。なんかもう、嶋さんは存在自体が魅力的。小さいところもネ!


六巻私的ベスト台詞。
「空から、救助に来ます!」
トッキューに行くことになってしらはを離れることになった兵悟が「次に戻ってくる時はどうやって来るか分かってるな?」と言われて言った台詞。
トッキュー隊員として戻ってくるということは、そういうことですよね。
頑張れ兵悟!

 


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