大会三日目。
 会場に向かうべく、朝食を済ませた紳一とは祖父母宅を出る。が、私服で出てきたを見て紳一はこんな疑問をぶつけた。
「制服持ってきてねえのか?」
 公式戦は制服でが通例であるし、今日は海南が緒戦だからこその問いだろう。
「う……、うん」
 紳一は自分も海南の緒戦を見に行くと思っているようだが、は陵南の試合を見に行くつもりであり。あまり紳一と言い合いはしたくないが、言い合いは避けては通れないのかもしれない。
 とはいえ、愛和の試合ですら海南よりも優先したことはないのだから――紳一にとっては青天の霹靂かもしれないが、にしてもここは譲れない。
 今日は海南・陵南ともに第一試合。海南はメインのレインボーホールであり、陵南は一駅隔てた名古屋市体育館だ。
 レインボーホールの駐車場に紳一は車を止め、さっそく会場入りしようとしているところでは少しずつ後ずさる。
「あの、お兄ちゃん……。私、名古屋市体育館の方にいくから」
「は……?」
 幸い、駅はすぐ後ろだ。電車にさえ乗れば会場まではたった一駅。すぐである。
「今日の試合はレインボーのメインアリーナのはずだぞ」
「うん。でも、陵南はあっちだから……。じゃあ、あとでね」
 言ってかけだそうとするも一歩遅く、腕を捕まれて阻止されてしまった。
「お前は……! 何度言ったら分かるんだ!? 海南の生徒だろう、お前は」
「そうだけど……! 約束したの、私は仙道くんを応援するって」
「は……?」
「最後の夏だから……、私は仙道くんを応援する」
「なにをバカな……、神たちだって最後の夏だぞ」
「仙道くんが好きだから! ――仙道くんの、そばにいる」
 瞬間、紳一の手の力が弱まっては紳一を振りきって数歩後ずさった。
「じ、神くんたちに……よろしく」
……!」
「海南を応援してないわけじゃないの。ごめんね……!」
 かけながら後ろを振り返って言うと、そのままはすぐそばの笠寺駅を目指してかけた。
 海南に思い入れる紳一の気持ちが分からないわけではないが。もう決めたことだ。例え陵南が海南と戦うことになったとしても、自分は仙道を応援すると。
 もう、迷いは全くなかった。素直に仙道の応援が出来ることが嬉しい。――むろん神たちがどうでもいいわけではないが。それはそれだ、と、一瞬脳裏に神たちの姿を思い描いてから電車に飛び乗ると、は名古屋市体育館を目指した。
 駅のそばの公園を横切り、レインボーホールよりはだいぶん小さい体育館に入って観客席へ駆け上がると、さすがに今日からシード校が登場するだけあって昨日よりも人が入っている。第二試合がベスト4常連の福岡代表だけに、福岡目当ての観客も多いのだろう。
「陵南の相手は……、東京代表か」
 コピーしてきたトーナメント表を見やって、は何とか陵南側のベンチの最前列を確保して座った。
 そう言えば、東京は仙道の地元である。知り合いの選手とかいたりするんだろうか。などと考えていると、試合開始前となって両校の選手達がコートに姿を現した。
 まずは第一試合、関東同士の一戦である。が、ここ近年の東京はそれほど目立ったチームはいない。わざわざ仙道が神奈川の高校に入学したことからもそれは伺える。しかし。

「東桜ーー!!! ファイオーーー!!」

 反対側の相手チーム観戦席はけっこうな数の応援団が来ており、「さすが首都、お金持ち」などという的はずれかもしれない感想がの脳裏を巡った。
 目線をコートに落としていると、ふいに福田がこちら側の観客席を見上げてきたため「あ」とは反射的に声をあげた。
「福田くん!!」
 手を振ると、気づいたらしき福田は一瞬こちらを見て、確かに目が合ったというのにギョッとした顔をしてパッと目をそらしてしまい――、は一瞬固まった。
「え……」
 なんなんだ、いったい。と瞬きをする。なにか福田に嫌われるようなことをしたっけか……と巡らせていると、今の声に気づいたのだろう。仙道がこちらを見上げてきて、ニコ、と笑みを向けてくれ、も笑みを返した。

「――3分前!」

 試合前の練習を済ませ、選手達はそれぞれベンチに集まって用意をする。
「博多商大附属が観戦に来てるな……」
 ちらりと田岡はベンチから体育館脇に出てきていた選手団を見やった。
 初出場のチームの強みは、敵側に情報があまりいっていないことにある。田岡としては、陵南は対戦相手への対策はばっちり行っているが、逆に相手は陵南の対策を積んでいない。というのが理想の状態なのだ。よって2回戦くらいであまり陵南の力を見せつけたくないというのが本音である。
「博多は反対側だし、あたるとしても決勝だから大丈夫じゃないですかね」
「ジンジンたち……きっと負けない」
 仙道があっけらかんと言い放ち、福田はそんな風に言ってヤレヤレと田岡は肩を竦めた。
「まあ、海南があがってくればウチとしてもありがたいがな。さて、今日は東京の王者が相手だ」
「知ってますよ、オレ。あっちのチームの何人か……確か中学でやったことがある」
「本当か、仙道?」
「お前、そんな話、一度もしなかっただろ」
「イヤ……、名前は覚えちゃいねえんだが、なんとなく見覚えが……」
 植草や越野が突っ込むも、仙道は首に手をあててそんな風に答え、ハァ、と全員が肩を落とした。この様子ではあまり手こずった相手ではなかったのだろう。
 しかしながら植草や越野にしても中学時代に越境同士で練習試合をすることもあったが、あまり自分たち世代の東京は強いという意識はない。
「ともかく、お前たち。油断は禁物だ。いつも通り陵南のバスケットをやってこい!」
「おう!」
 力強く送り出してくれた田岡に返事をして、スタメン5人がセンターサークルに向かうと、東京代表の東桜高校のスタメンは先に揃ってこちらを待つように腰に手を当てて立っていた。
「よう、仙道!」
「久しぶりじゃねえか。神奈川にいったとは聞いてたが……3年目にしてようやくインターハイか?」
「さすがの天才も神奈川じゃ手こずってたってわけか。……ま、今日はお手柔らかに頼むぜ」
 一斉にトラッシュトークを受けた仙道は、数秒ほど固まったものの、すぐにうち消すようにニコッと笑うと相手の4番に向けて手を差し伸べた。
「――よろしく」
 それを見つつ越野は、「笑って誤魔化したな」と頬を引きつらせた。おそらく、一瞬だけ相手の名前を思い出そうとしたが、無理だと悟ったのだろう。

「なんか話してる……」

 様子を見守っていたも、東桜の選手が仙道に何か言葉をかけた様子は伝わり――、やはり知り合いなのかな、と思う。
 しかし、例え中学時代の仙道を知っていても無駄だろう。今の彼は、だいぶん中学時代とはプレイスタイルが変わっている。
 ポイント・フォワードとしての才能を開花させたのは田岡による指導のおかげかな、とはベンチで腕組みをしている田岡を見やった。
 一年の頃からずっと仙道を見てきたが、やはり一年の頃の彼はまだ「素材」であった。むろんその頃からずば抜けた才能は見せていたが、2年になる頃には天性のパスセンスを活かして味方の能力を最大限に引き出すことを覚え、持ち前のオフェンス力に対して劣っていたディフェンス力も飛躍的に向上した。そして今年はいち選手としてほぼ隙のない選手に育っている。
 同じフォワードとして――仙道ほど理想的な選手もいないと思う。おそらく「フォワードらしい」という意味では自分の方がフォワードっぽい選手だったと思うが、やはり、仙道みたいな選手になりたかったな……と思ってしまう。
 華があってみなを引きつけるプレイが出来るのに、けっして出しゃばらずにチームの力を最大限に活かすことを考えている。が、ガードの仕事を奪うわけでなく、あくまで彼はフォワードだ。やっぱり、好きな選手だなぁ、と彼を「男」として見ているのではなくバスケを見ているときは「選手」として見てしまって、うずうずしてくる自分がいる。
 それだけに――、この夏でバスケを止める、と彼が決めてしまったのは少しもったいない気がする。今でさえ、まだまだ成長途中だというのに。
 もしも自分が「選手」としてのみ仙道を好きであったら、きっと止めただろう。が、「仙道彰」にはずっとバスケ一筋のバスケ選手でいることは難しいと知っているため、なにも言えない。「天才」という彼に周りは過剰に期待をしても、当の本人にその気がなければ、それは結局足かせになるだけなのだから。

『その代わり、オレは諸星さん以上に……日本一に絶対なってみせる』

 せめて、最後まで見守ろう――、と見守る先で植草・仙道ラインが見事なアリウープを決めて会場が沸き、も笑顔で拍手を贈った。

 結局、試合は序盤から陵南のリードで危なげなく勝利を収め、陵南は3回戦進出を決めた。
 はせっかくなので次の博多の試合も観て帰ろうと観客席に座ったまま次の試合を待った。海南、勝っただろうか……と考えると少々気が重くなってくる。家に帰ったら紳一になんと言われるか。そもそも紳一はあまり自分と仙道が付き合うことに対して良い目で見てくれないような気がするのはなぜか……。いよいよ頭が痛んできては首をふった。考えるだけ無駄なことは考えない方がいい。
 博多にはいいシューティングガードがいるな、と目の前の試合に集中して第2試合が終わると名古屋市体育館を後にした。
ー!」
 すると、後ろから見知った声に呼び止められ、振り返ると諸星と年輩の男性がいては足を止めた。
「大ちゃん……! と……」
 なんか見覚えがある、と記憶を巡らせてハッとする。深体大の監督を務めている唐沢だ。
「唐沢監督! あ……いつもうちの諸星がお世話になっております」
「お前、日本語おかしいぞ」
 挨拶を、と思えば出てきたのはそんな言葉で。諸星は笑い飛ばしてから困惑気味の唐沢に言葉を付け加えた。
「牧紳一の従妹なんです。オレとも兄妹みたいなモンでして……」
「ああ、なるほど……! ミニバスチームでエースを務めていたという」
「牧です。はじめまして」
「こちらこそ……。紳一君は元気かね? 随分とラブコールを送ったものだが、けっきょく断られてしまったのは残念だったな」
「すみません。兄はサーフィンに入れ込んでましてバスケの方はあまり……」
「監督、あんな裏切り者のことはどうでもいいっすよ、もう」
 彼らもちょうど駅を目指しているということで、そんな冗談交じりに並んで歩いた。
 この通りは公園沿いになっており、夏の緑が鮮やかだ。
「大ちゃん、インターハイのあいだ、ずっとこっちにいるの?」
「うんまあ、オレと監督の他に何人か来てんだけど……。近くの大学借りて一緒に練習やってんだ」
 これから戻って練習。と諸星が言い、なるほど、とも頷く。
「じゃあ、他の人たちは違う会場に?」
「ああ、オレはやっぱ陵南の試合気になってたからこっちついてきた。お前は?」
「私も……仙道くんを応援しに来たんだけど……」
「ど……?」
「お兄ちゃんは、海南の方に行ったの」
「だろうな」
 そこでグッと言葉に詰まると、相当に変な顔をさらしたのか諸星はギョッとしたような顔を浮かべた。
「な、なんだよ、どうした?」
「お兄ちゃん、怒ってる」
「は……?」
「私、インターハイは仙道くんの応援するって決めて来たんだけど……。お兄ちゃんは海南の応援をしろって言ってて、振り切ってこっちに来ちゃったから、たぶん怒ってると思う。ちょっと家に帰るの怖い」
 む、と唇を尖らせて言えば、諸星は絶句してからコメカミを押さえ、数秒後にふるふると首を振るって呆れたように肩を竦めた。
「ちっちぇえ……あまりにちっちぇえ……オレはそんな男とダチだったとは……なさけねえ!!」
 そうしてなにやら震えながら目頭を押さえはじめた諸星には逆にギョッとする。
「え、あの……」
「気にすんな! お前はお前のやりたいようにやりゃいいんだ。だいたいお前、バスケ部でもなんでもねーだろ。なに偉そうなこと言ってやがんだあのバカは」
 練習なかったら説教しに行ってやるところだ、と息巻き始めた諸星に、は苦笑いを浮かべつつも少しホッとした。やっぱり、諸星といると気持ちが明るくなる。血は繋がっていないが、やはり自分たちは3人揃ってこそ、な気がする。
「大ちゃんは、大学ではどう?」
「ん? いや、まあ……厳しいけど充実してるぜ。誘ってもらった期待に添えてるといいんですが……ね、監督」
「ん? うむ……まあ、まだまだだがな」
 ふられた唐沢は唸りながらも口元に笑みを湛え、は諸星の大学生活が順調なことを悟って笑みを浮かべた。
 この夏でバスケットをやめると言った仙道とは対照的に、諸星はこれから世界という壁を相手に挑戦を続けるという途方もない旅を始めたばかりだ。
 これから自分たちがどうなっていくのか。幼かった頃からは想像も出来なかった「今」という現在が、また大きく変わっていく分岐点に来ているような気がする。と、は同じ東海道線に乗って笠寺駅で降りていく諸星たちに手を振って、ふ、と息を吐いた。
 名古屋から離れると、とたんに田園風景が広がりはじめる。紳一はもう家に帰っているだろうか……お腹すいた。きしめんでも食べて帰ろうか、などと思考で現実逃避しつつ家に戻ると車庫にはばっちり紳一の車がとめてあり、う、と息を詰まらせる。
 インターホンを押すと、しばらくしてガチャッと扉が開き、案の定こちらを睨み付ける紳一が出迎えてくれた。
「た、ただいま……」
 とりあえず笑って中へ入り、靴を脱ぐ。気まずい空気がながれるが――、互いに意見を変える気がないなら、もうどうしようもない。
「…………」
 呼ばれて、ギクッ、としつつは紳一を見上げた。紳一はどこか憮然とした表情を浮かべている。
「陵南は、どうだったんだ? 勝ったのか?」
「え……うん」
 勝ったよ、と答えると「そうか」となお紳一は呟いた。
「ウチも勝ったぞ」
「そ、そっか……」
 そして再び沈黙が玄関先を支配して――、ふぅ、と紳一は息を吐いた。
「仙道とは……」
「え……」
「仙道とは、その……アイツの方も真面目に考えてるんだろうな?」
「え……」
 そこではハッとした。――自分が仙道の第一印象が悪かったように、紳一にとっても妹同然の自分に出会い頭に「付き合え」と言ってのけた仙道の「男」としての印象が最悪であった、と。
 あ……、とは理解して強く拳を握りしめた。
「も、もちろん! ちゃんと付き合ってるよ……!」
「そ、そうか……」
 紳一は複雑そうながらも頷き、はパッと笑った。兄の心理、というのは分からないがきっと紳一なりに心配してくれていた結果なのだと悟って紳一の方へかけよる。
「なら、まあ――」
「お兄ちゃん大好き!」
 そのまま紳一に抱きつけば、滅多にない行動だったためか紳一は珍しくうろたえた。
「お、おい! オレはまだ認めたわけじゃ――」
「うん、ありがとう!」
 満面の笑みを紳一に向けたは、ホッとしたらお腹がすいた。と、そのままダッシュで部屋へあがり、残された紳一は盛大なため息を吐いた。

「やれやれ……」

 兄としては、やはり妹には神のようなしっかりした真面目な男が――、と考えてしまうには勝手だろうか。しかし、もう今はなにを言っても無駄だろうな、と半ば諦めて紳一はもう一度肩を竦めた。


 ――しかし、同日である大会三日目。
 陵南、海南が順調に勝ち星をあげた中、レインボーホールの第二競技場で行われた秋田代表の山王工業VS京都代表の洛安。山王は洛安に破れて2回戦で姿を消した。
 シードである洛安が勝つのは、むしろ当然のことであるとはいえ――絶対王者として君臨していた頃の山王のメンバー全員が抜け弱体化が顕著となったことで、いち時代の終わりをバスケ界に予感させていた。

「山王はどうも迷走しとるようだな……」

 海南のメンバーは、宿泊しているビジネスホテルの小会議室で今日の山王VS洛安のビデオを見ており、高頭のそんな言葉に全員が渋い顔を浮かべていた。
 高頭はなお続ける。
「あそこの堂本はいかんせんまだ若い……、ここ数年は深津たちの世代にだいぶん助けられていたとはいえ、山王のお家芸は走れるバスケットだ。それが今年は……」
「河田さんの弟を主体に、インサイドバスケに切り替えようとして、まだスタイルが確立してない感がありますよね。中途半端にオールコートプレスを混ぜようとして、全てが中途半端になっている」
 神が口を挟み、うむ、と頷く。清田は、ふぅ、と息を吐いた。
「対山王戦を睨んで必殺・対ゾーンプレス大作戦を既に取得している我が海南だってのに、披露する場がないっすね」
「まあ、ゾーンプレスは山王の専売特許じゃないんだから、無駄じゃないけどな」
 小菅が突っ込んで神が苦笑いを漏らし、うむと高頭も頷いた。
「洛安はよく山王を研究してきたようだな。バスケットにおいて高さは絶対的に有利だ。2メートル超で巨体の河田弟は確かにゴール下では驚異だろう。しかし、それも絶対ではない」
 ピッ、とビデオを止めつつ高頭は選手達を見やる。
「大切なのはいかに相手に仕事をさせず、こちらのペースで試合を進められるかだ。しかし、これこそが黄金パターン、というのに頼り切りとなるのも良くない。ウチの場合は去年までは攻撃の起点は牧のペネトレイトだったが……。知ってるか? 小学生の頃の牧はむしろウチで言えば小菅みたいなタイプだったぞ」
「え……!?」
「しかも、小菅ほどシュートを打つタイプではなかった」
 ザワッと辺りがざわつく。例にあげられた張本人の小菅も困惑気味の表情を浮かべている。ああ、と神が相づちを打った。
「でも、国体の合宿でちょっとそれっぽいところを見せてくれてましたよね」
「あ……! 仙道さんとさんとやってたやつっすね。……流川のヤロウにフォーメーション教えるために……、まあ、あの独尊ヤロウにゃ無駄でしたけど」
「うむ。君が典型的なエースフォワードで、諸星というシューティングガードもいたせいか、牧はパスワークとゲームメイクに徹していた。そもそも君が一番インサイドに強く、牧が切れ込むなどという場面はヤツが小学生の時はまったく見られなかった」
「き、切れ込まない牧さん……」
さんがインサイドに強い……」
 混乱する清田ほかに、高校生の今の姿で想像しないほうがいい、と神が助言を出す。それはともかくとして、と高頭は咳払いをした。
「小学生の頃の牧達は強かった。フォワードが軸となり、ガードがしっかりとチームを支える、オーソドックスなバスケットが展開できていたからだ。何ごとも大事なのは基本! 今日、山王に勝った洛安も、今後あがってくると予想される博多も、ウチなら必ず勝てる。いいかお前達、今年こそ、海南大附属が全国制覇だ」
「――おう!」
 高頭の言葉に選手達は力強く応え、そして再び画面を見やった。

 ――夜が更けていく。
 明後日には、ベスト8が出揃う。王者への真の戦いは、そこからが本番だ。


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